今年度が初めての開催となった「東京eスポーツフェスタ」。バンダイナムコエンターテインメントの『太鼓の達人Nintendo Switchば〜じょん!』が種目のひとつとして採用され、小学生以下のキッズ限定全国大会が行われました。強豪揃いとなった大会の模様をレポートします!
競技人口1億人。メジャー競技となったeスポーツ
ビデオゲーム、コンピューターゲームを使って対戦を行うeスポーツは、現在のところ全世界で1億人を超える競技人口を抱えると言われており、今もっとも注目されている新しいスポーツ競技です。
2020年1月11日(土)、12日(日)に開催されたeスポーツの祭典、「東京eスポーツフェスタ」では、さまざまなゲームの競技大会が開催されたほか、ゲーム周辺機器等の開発・販売、AR・VR等関連技術、キャラクターグッズやスマホアクセサリーの製造・販売など、eスポーツに関係する幅広い企業がブースを出展。2日間で延べ約8,000人の来場者が訪れ、大賑わいとなっていました。
さまざまなゲームがeスポーツの種目として採用される中、バンダイナムコエンターテインメントの『太鼓の達人Nintendo Switchば〜じょん!』も種目のひとつに選ばれ、大会が開催されました。
優勝者はホノルルにご招待!小学生以下限定の『太鼓の達人』大会
今回開催された大会は、小学生以下のキッズに参加者を限定した全国大会「太鼓の達人 Nintendo Switchば~じょん!小学生ドンカツ王決定戦!」。2019年10月26日に行われた愛知県大会を皮切りに、北海道から九州まで、全国16会場で予選大会が行われ、1月12日の決勝トーナメントでグループA・グループB・グループCの優勝者が決定します。この3名は、3月6日から8日にかけてハワイで行われる「ホノルル フェスティバル」のエキシビションマッチへの参加権を獲得できます。
「東京eスポーツフェスタ」では、決勝大会に先駆けて、1月11日に東京都予選として東京eスポーツフェスタ大会を実施。ここでの優勝者、東京に招待された各地区の代表選手に加えて、1月12日午前に行われたスコアアタックの上位2名が決勝大会への切符を掴み取りました。
出場選手・計18名は、決勝大会直前に太鼓の達人・競技エリアでトーナメントシード決定戦に参加。そして、いよいよ運命の決勝トーナメントへ。決勝は「東京eスポーツフェスタ」の会場内で最も大規模なメインステージでの開催となり、大観衆が選手のプレイに大きな拍手と歓声を送っていました。
名勝負の連続に会場が沸いた決勝トーナメント
決勝トーナメントには、特別なルールを採用。課題曲(1回戦は6曲、2回戦以降は10曲)の中から両選手が1曲ずつ選択し、その2曲で試合を行い、合計得点で勝敗を決めます。一度選んだ曲は、その後の試合では選べなくなるため、自信のある曲をどの試合に持ってくるかが勝負のカギとなる模様。この選曲の妙が、さまざまなドラマを呼ぶ結果となりました。
ついに決勝戦!ホノルル行きのチケットは誰の手に?
1時間以上に及ぶ熱戦をへて、いよいよ決勝戦がスタート。3名の優勝者がついに決まります。メインステージには、いつの間にか人が押し寄せ、立ち見の観客も多数。熱気に包まれる中、最後の戦いが幕を開けました。
Aグループ決勝は、秋田県大会代表なーつつ選手(紫)とかぶとむし選手(水色)が優勝を争いました。両選手ともに「夏祭り」難易度:おにを選曲し、同曲で対決した結果、軍配はなーつつ選手に。かぶとむし選手は1Pと2Pを間違えていたそうで、悔しさを隠しきれない表情が印象的でした。
Bグループ決勝は、大阪府大会代表はるたろう選手(左)と兵庫県大会代表ようた選手(右)による関西対決に。両者とも「Silent Jealousy」難易度:むずかしいを選曲し、またしても同曲での対決となりました。手数の多いプレイを競った結果、優勝はようた選手の手に。はるたろう選手は「自分の自己ベストを残せたので、悔いはないです」と、清々しい表情でコメントを残していました。
最後の試合となったCグループ決勝。福岡県大会代表しろ選手(オレンジ)とぶんちゃん選手(緑)はそれぞれ、「夏祭り」難易度:おに、「エンジェルドリーム」難易度:むずかしいを選択。1曲目の「エンジェルドリーム」ではぶんちゃん選手がしろ選手に差をつけたものの、続く「夏祭り」では抜きつぬかれつのデッドヒートを繰り広げました。その結果、「夏祭り」のスコアはまさかの同点! 引き分けという珍しい試合内容に、会場中が大興奮の様子を見せていました。Cグループの優勝は、1曲目の「エンジェルドリーム」で差をつけたぶんちゃん選手の手に。
なーつつ選手、ようた選手、ぶんちゃん選手が優勝を手にして、ホノルル行き決定! 興奮冷めやらぬ中、3名の優勝者に感想を聞きました。
なーつつ選手
全試合緊張はしましたけど、チャンスをものにできるように集中してできました。まだ優勝の実感は沸かないです。ホノルルでも、楽しんでやっていきたいです。
ようた選手
相手の選手もみんな上手くて、勝てるかヒヤヒヤしていたんですけど、勝てて良かったです。ホノルルでは、現地の人とも良いチームになれるように、頑張りたい。
ぶんちゃん選手
いつもの練習よりも良い得点が出て、良かったです。まさか優勝できるとは思ってなかったので、すごく嬉しい! ホノルルのエキシビションマッチでも勝ちたいです。
『太鼓の達人』eスポーツ化に掛けた思いと今後の展望
日本全国から強豪が集まり、手に汗握る展開が何度も訪れた今大会、「太鼓の達人 Nintendo Switchば~じょん!小学生ドンカツ王決定戦!」の担当者で、バンダイナムコエンターテインメントeスポーツ課の池田弘典さんと、解説も務めた家庭用『太鼓の達人』プロデューサーの上田彩乃さんに今大会の開催に込めた思いや観戦した感想を聞きました。
バンダイナムコエンターテインメント eスポーツ課 池田弘典さん
家庭用『太鼓の達人』プロデューサー 上田彩乃さん
予選で対戦した選手たちが決勝トーナメントで再戦したり、抜きつ抜かれつの逆転劇があったりとドラマチックな対戦も多く、実況席で解説しながら私も手に汗握って楽しく試合を拝見しました。
今回、小学生以下が対象の大会を開催したのは、小学生の太鼓の達人ファンに、大会に挑戦して『太鼓の達人』で対戦する楽しさやかっこよさを感じてもらいたい、という思いがあったからです。今後も引き続き小学生以下の大会を行って「太鼓をうまく叩けるってかっこいいな」「自分も挑戦してみたいな」と思ってもらえるようにしつつ、難易度高めのコアユーザー向け大会も並行して開催して、太鼓の達人を好きな方がみんな楽しめるように展開を広げていきたいと思っています。
業界全体でさらなる盛り上がりを見せるeスポーツ。出場選手たちのまっすぐな情熱はeスポーツの未来を照らしてくれる灯りとなることでしょう。今回優勝を果たした3名だけでなく、惜しくも敗れてしまった出場選手全員もさらにプレイを磨いて、今後も素晴らしい試合を見せてくれるに違いありません。
【取材後記】
ほかのスポーツにもまったく引けを取らない、eスポーツの大会の試合の熱さに圧倒されました。一心不乱に練習に打ち込んだ者だけが辿り着けるパフォーマンスの高み、出場者同士の友情、ドラマチックな試合展開……。オンライン上で観るeスポーツの面白さとはひと味違う、生ならではの熱気や臨場感を体験し、またひとつeスポーツの奥深さを知ることができました。
取材・文/青山晃大
1983年、三重県生まれのフリーランス・ライター。
アーケード版の『太鼓の達人』で2013年、2016年と全国規模の公式大会を実施されていたので、今回はもっと気軽に参加して応援できる“もっと身近なeスポーツ”を行いたいと考えて小学生限定の大会を開催しました。実際に間近で大会を見て、小学生の選手たちの頑張りと、選手たちを応援するご家族の暖かい眼差しに胸を打たれました。
『太鼓の達人』の良いところは老若男女問わずに楽しめて、凄いプレイが一見して凄いとわかりやすいところだと考えています。今後は、eスポーツとしての『太鼓の達人』をまずはアジア中心に広げていきたいと考えています。また、国内では、小学生向けeスポーツの定番として、例えば小学校のクラブ活動にするなど、もっと生活に根差したものにしていきたいですね。