『テイルズ オブ』シリーズの最新作『テイルズ オブ アライズ』。そのテーマ曲「HIBANA」について、楽曲を制作した感覚ピエロのみなさんと、『テイルズ オブ アライズ』プロデューサー・富澤Pの対談をお届けします!
昨年シリーズ25周年を迎えた『テイルズ オブ』シリーズ。その最新作『テイルズ オブ アライズ』が、いよいよ9月9日に発売されます。
「心の黎明を告げるRPG」をテーマに、ふたつの星の運命を揺るがす物語が描かれる本作。そのテーマ曲「HIBANA」について、4人組ロックバンド・感覚ピエロのみなさんにインタビューを行いました。インタビュアーは、『テイルズ オブ アライズ』プロデューサーの富澤Pが務めます。
感覚ピエロ
横山直弘(vo,g)、秋月琢登(g)、滝口大樹(b)、西尾健太(ds)による4人組ロックバンド。 2013年に大阪で結成。 結成直後に自主レーベル〈JIJI RECORDS〉を立ち上げ、完全セルフプロデュースによる作品と精力的なライヴ活動で、関西インディシーンで注目を浴びる。
富澤 祐介
バンダイナムコエンターテインメント 『テイルズ オブ』シリーズIP総合プロデューサー
『テイルズ オブ アライズ』のプロデュース、『テイルズ オブ』ブランド全体の統括とIP戦略の推進を担当
「“ともに困難に向かう仲間”とのあいだで生まれるもの」。テーマ曲「HIBANA」に込めた思い
富澤:我々が感覚ピエロさんに『テイルズ オブ アライズ』に楽曲を提供していただきたい、とオファーをさせていただいたのは、2018年のことでした。
横山直弘(Vo, G、以下横山):3年前のお話ですね。
富澤:オリジナル楽曲をオファーさせていただいた際、みなさんはどんなふうに感じていらっしゃいましたか?
横山:『テイルズ オブ』シリーズはすごく歴史のあるタイトルなので、その歴代の主題歌を担当された方のなかには、僕ら自身が好きな方々もいて。そこに名前を連ねさせてもらうことに喜びを感じつつも、同時にプレッシャーも大きかったです。
例えばBUMP OF CHIKENさんの「カルマ」とか、そういった諸先輩と一緒に、僕らもシリーズとして名前が残るということなので。ゲームをプレイしている方々、シリーズが好きな方たちに愛されるものを、僕たちも作らなきゃいけないな、と思っていました。
富澤:『アライズ』では既存のファンの方だけでなく、これから新たなユーザーの方も獲得していきたい、という思いもあったので、仕上がったデモを聴かせていただいた時に、そのイメージにすごく合ったものをいただけたと思いました。いろいろ細かい注文を出させていただくことも多かったのですが根気よくお付き合いいただきました。
横山:いえいえ。僕自身、ゲームをクリアしたあとの方がむしろその楽曲たちに愛着が湧いてくるというか。自分がプレイしてきた時間を追体験するために楽曲を聴くことがあるんです。そんなふうに、ゲームを制作されているチームの方々はストーリーの全体像が見えているので、そういう方々が「もっとこうしてください」と言ってくださることで、結果的に作品にすごくマッチしたものになると思っています。そのやりとりの部分も含めて、濃密な時間だったと思います。
富澤:では、「HIBANA」の制作過程について、詳しくお話を聞かせてください。
横山:楽曲制作のお話をいただいて、まずは制作チームの皆さんとディスカッションさせていただきましたが、その際にラフ画やストーリーボードを拝見し、今作に込められた想いを受けて、楽曲制作に取り組みました。
まずはゲームをプレイされる方の高揚感、「これからゲームがはじまるんだ!」という期待感をさらにプッシュできる楽曲を目指しました。サウンドには、そうしたある種の爽快感と、同時に切なさを込めることに尽力しました。アレンジや演奏そのものに、そうした色が表われていると思います。
そしてもう1つは、今作に込められた想いを楽曲そのもので体現することです。歌を録音した際は、自然と今作のキャラクターたちの顔を思い浮かべていました。
ぜひゲームをクリアしたあとに、再度この楽曲を聴いていただきたいです。ひとえに、作品本編と一体になる楽曲を目指しました。ゲームとともに末長くご愛聴していただけたら、とてもうれしいです。
富澤:「HIBANA」というタイトルに込められている思いについても教えてください。
秋月琢登(G、以下秋月):一人では決して超えることのできない壁も、誰か(仲間)とだから摩擦が生まれ成し遂げられるように、幾千の苦難に立ち向かって仲間と旅をする『テイルズ オブ』シリーズと僕らバンドの、これまでとこれからを願って「HIBANA」と名付けました。
「僕らもファンの一員に加わっていきたい」。25年続くシリーズに関わるということ
富澤:「HIBANA」の楽曲と映像が一緒になったオープニングアニメをご覧になっての感想はいかがですか?
横山:「うれしい」というのが率直な感想というか、僕らはずっと曲だけを作っていたので、それがアニメーションと合わさることで、ようやく『テイルズ オブ』の世界とちゃんとひとつになったな、という実感が湧いて、よかったと思っています。
富澤:僕たちも、映像が一回仕上がった段階で「もう少しこうしたいです」と、アニメーションを担当してくださったufotableさんにお願いしました。
ufotableさんは、楽曲のテンポなどについても細かい部分まで映像とのリンクさせることを追求してくださっていて、「ちょっとしたビートでもアクションが変わってしまうので、ドラムからベースまで最終の音が決まってからでないと、作りはじめられません」というお話をいただいて。
そのため、感覚ピエロの皆さんへの「楽曲をこの日までにください」というお願いも、(タイトなスケジュールで)シビアだったかもしれません。
横山&秋月&滝口大樹(B、以下滝口)&アキレス健太(Dr):いえいえ(笑)。
富澤:また、『テイルズ オブ アライズ』を実際に遊んでみての感想はいかがでしたか? 特に滝口さんは、「こんなに上手ぇんだ」と思いました。
滝口:そうですか!?
富澤:シリーズのプレイ経験がおありなんですよね。
滝口:はい、学生のころによく遊んでいました。
横山:日ごろゲームはあまりプレイしない僕も、難易度「NORMAL」でデモ版を触らせていただきましたが、なんとかクリアすることができました。そのバランス感もユーザーフレンドリーだと思いましたし、もっと操作を鍛錬することで戦闘をエレガントにこなせる奥行きも感じられて、「もっとやり込んで上手くなりたい!」と率直に思いました。
また、「仲間と戦っている」という感覚も強く受けました。操作するキャラクターは一人ですが、アクションも含め、戦闘中には仲間の「意志」や「息遣い」まで感じられ、戦闘を重ねる度に仲間への愛着と感情移入も強くなっていきました。
これは本編のストーリーと密接に関わってくることですし、それを戦闘からも感じられるのがすばらしいと感動しました。 ぜひ本編が発売されたらやり込みたいです。
富澤:すごく久しぶりにプレイする方や、初めてプレイする方でも楽しんでいただけるというのは、今作の目標でもあったんです。なので、「ちょっと触ってみただけでも楽しさが分かった」「このままどんどんプレイしたい」と思っていただけたのなら、僕らの狙いともすごくハマっていると思っています。
最後に、バンドを代表して横山さんからメッセージをいただけますか?
横山:今回『テイルズ オブ』シリーズに我々感覚ピエロが名前を連ねさせていただけることを、とても光栄に思っております。
僕はこの作品をプレイすることからシリーズの入口になるんですけれども、『テイルズ オブ』のファンのみなさんはたくさんいらっしゃると思います。僕もこれからそのメンバーの一員に加わっていきたいと思っていますので、発売したら一緒に遊んでいきましょう。
そして感覚ピエロの「HIBANA」、ぜひたくさんリピートしてください。よろしくお願いします!
【取材後記】
感覚ピエロのみなさんや、『テイルズ オブ アライズ』チームの熱い想いが詰まったテーマ曲「HIBANA」は、現在配信シングルとして発売中です。ぜひこの楽曲を聴きながら、いよいよ目前に迫る最新作『テイルズ オブ アライズ』の発売をお待ちください!
取材・文/杉山 仁
フリーのライター/編集者。おとめ座B型。三度の飯よりエンターテインメントが好き。
「HIBANA」は7月6日より配信シングルとしてリリース。