令和最注目のスポーツと言えば、ずばりバスケ! バンダイナムコエンターテインメントは2019年から、プロバスケットボールリーグ「Bリーグ」に所属する島根スサノオマジックの経営に携わることになりました。バスケ×エンターテインメント企業の異色のコラボは、一体何を生み出すのか!? 島根スサノオマジックのホーム開幕戦でそのヒントを探りました。
バンダイナムコエンターテインメント初のスポーツエンターテインメント事業は、バスケットボール!
2019年8月27日、エンタメ界とバスケ界に驚きのニュースが飛び込みました。バンダイナムコエンターテインメントが、プロバスケットボールリーグ「Bリーグ」1部に所属する「島根スサノオマジック」の運営に参画することを発表したのです。
八村塁選手が史上初の日本人ドラフト指名1巡目でNBA入り、男子日本代表の21年ぶりワールドカップ自力出場、女子日本代表のアジアカップ4連覇…。日本のバスケは今、非常に熱気を帯びています。
その中にあって2016年に誕生した「Bリーグ」は、開幕以来、事業収入や観客動員数を右肩上がりに増やしている、注目のスポーツリーグです。
バンダイナムコエンターテインメントはそんなBリーグに大きな期待を寄せ、チーム創設10周年(前身のリーグを含め)を迎え、地域活性化に熱心に取り組む島根スサノオマジック運営会社の経営権を獲得。株式会社バンダイナムコ島根スサノオマジックへ商号変更も行い、初のスポーツエンターテインメント事業にチャレンジすることとなりました。(記者会見のくわしい内容はこちらから)
「アソビきれない毎日を。」をキャッチフレーズとし、世界中の人々を笑顔にすることを目指すバンダイナムコエンターテインメント。さまざまに培ってきたエンターテインメントのノウハウを駆使し、バスケットボールを愛する人々をどうやって笑顔にさせるのでしょう?
その答えを知るために、取材班は島根スサノオマジックの本拠地・島根県松江市へと向かいました。
島根スサノオマジックのホーム開幕戦を潜入取材!
10月5日、快晴の土曜日に、島根スサノオマジックのホーム開幕戦が行われる松江市総合体育館を訪れました。
松江は知る人ぞ知る、古くからのバスケどころ。試合開始は16時ですが、我々が到着した13時半には、すでに多くのファンの方々が体育館のまわりで行列を作っていました。
マスコットキャラクターの「すさたまくん」も、ごあいさつにやってきました。
島根スサノオマジックはBリーグ初年度の2016-17シーズン、2部リーグに所属するチームでした。そこから1部昇格、2部降格を毎年繰り返して現在に至るという、非常にドラマチックなチームです。
「もう絶対に同じ経験はしたくない…!」。それが選手、チームスタッフ、そしてファンの共通意識なんだろうな。そんな強い思いを持ちつつ、約半年ぶりのバスケシーズン到来をわくわくしながら待っているのだろうな…などと考えながら、いよいよ我々も会場に。
エントランスでは、大きなバナーがお出迎えしてくれました。
さすが、神々が集いし島根県のチーム。チーム創設10周年を「神話第十章」と表現するの、めっちゃかっこいい。
ステッカーももらっちゃいました。バスケをプレーするパックマン、レア!
まさかの「世界初」も楽しめる!激レア体験が満載のバンナムブース
開幕シリーズでは、1階アリーナにバンダイナムコエンターテインメントの特設ブースが設置されました。続々入場してきたファンの皆さんも、初めてお目見えするブースの数々に、興味津々のご様子です。
おなじみの「パックマン」も、島根スサノオマジックのファンのみなさんに「はじめまして」のごあいさつ。大人もキッズたちも、大喜びで抱きついたり、写真を撮ったりしていました。右のほうにいる太鼓の達人シリーズの「どんちゃん」も人気でしたよ。
パックマンのお隣にあったのは、メッセージオブジェを作成するブース。
パックマンとゴーストの形をしたケースの中に、チームや選手へのメッセージを書いたカラーボールを入れて、キャラクターを完成させていきます。
そして、大盛況だったのが「PAC IN TOWN」の体験ブースです。
パックマンをモチーフにしたMR(複合現実)アトラクションゲーム「PAC IN TOWN」。(開発:バンダイナムコ研究所)
実はこの日、特別に開発された「島根 Ver.」がこの会場で世界初の一般公開となりました!
パックマン型コントローラーを手に持ち、ディスプレイに広がる世界のなかを自身がパックマンとなってプレーするゲームです。この日は特別にワールドマップのなかに「シマネ」が出現。アイテムにも島根名物「出雲そば」と「シジミ」が追加されました。3段の丸い容器に入れられ、もみじおろし、あさつき、のりが添えられた出雲そばが、とってもリアルに(ドット絵で)再現されていました。
子どもたちやそのお父さんたちが、列をなして夢中になって楽しんでいましたよ。
華やかな会場演出から、試合がスタート!
ひとしきりブースを楽しんでいると、いよいよ開幕戦の試合開始時間が近づいてまいりました。
オープニングアクトは、島根の太鼓集団「雲州ひらた太鼓」のパフォーマンス。
勇猛で力強い響きに、これから始まる戦いへの期待を、否が応にもかきたてられます。
続いて、株式会社バンダイナムコ島根スサノオマジックの川崎寛代表取締役CEOがごあいさつ。
「年間60試合、選手は100パーセントのパフォーマンスで感動とドラマを与えてくれると思います。我々フロントスタッフもそれに100パーセント、いや、それ以上に応えられるように頑張ってまいりますので、今後も試合会場に足をお運びください」とスピーチ。
続いて、会場は暗転。バスケットボールコートには、大音量のBGMとプロジェクションマッピングが展開されます。
うわー、大きなコートなのに、映像がキレイに写し出されるものなんですね。
さりげなく(1秒くらい)、パックマンもフェードイン!
続いて、満員のお客さんたちが腕にはめたLEDライトが青く輝き出し、ひときわ大きな歓声が挙がります。いよいよ選手入場です!
コート上に選手の顔写真が大きく映し出されると、会場MCの先導で選手が入場。観客のボルテージは最高潮に達し、思わず鳥肌が立ってしまいました。
さあ、試合開始です!
開幕戦の相手は、強豪・名古屋ダイヤモンドドルフィンズ。島根スサノオマジックは開始直後からなかなかシュートが入らず、名古屋に先行される展開となりました。島根スサノオマジックは、ブライアン・クウェリ選手とロバート・カーター選手、2人の外国人選手の力強いインサイドプレーを中心に戦いますが、名古屋の硬いディフェンスと高確率で決まる3ポイントシュートに苦しめられ、28-40とリードを許して前半を終了。
ハーフタイム中、選手たちは「1人ひとりが強い気持ちを持って戦おう」と気持ちを統一しましたが、それでもなお名古屋は強敵。クウェリ選手が24得点、カーター選手が13得点と活躍しましたが一歩及ばず、58-72で敗戦。残念ながらホーム開幕勝利を飾ることはできませんでした。
キャプテンの山下泰弘選手は「名古屋さんのディフェンスの圧は想像以上。オフェンスのリズムが作れなかった」と反省を口にしていましたが、あきらめずにボールに食らいついていく選手の姿や、チアダンスチーム「アクアマジック」、すさたまくんのパフォーマンスを見ていたら、3時間弱の試合時間があっという間に過ぎた印象です。
ファンのみなさんも、チームスローガンが書かれたボードを掲げて、最後まで声援を送っていました。
お客さんを楽しませ、クラブに活力を与えるエンターテインメントを
前述のとおり、クラブ創設10周年となる節目の年に、バンダイナムコエンターテインメントとタッグを組み、新たなチャレンジを目指す島根スサノオマジック。創設時からクラブに携わる中村律社長は「波乱万丈の10年だった」とこれまでを振り返りつつ、新生島根スサノオマジックの今後に思いを馳せます。
「バンダイナムコエンターテインメントさんという、日本を代表する総合エンターテインメント企業が経営に参画していただくことになり、我々クラブ側はもちろんのこと、地域の方々からも大きな期待を寄せられていると感じています。
この開幕戦に関しては、バンダイナムコエンターテインメントブースの出展やその中での『PAC IN TOWN』など、お子さんの遊び場を作れたことがとてもうれしかったですね。今後も”島根オリジナル”と言える、もっともっと面白い空間を作れると思っています。
チームの今季の目標は、もちろん優勝です。そしてゆくゆくは、チームだけでなくフロントスタッフやファンのみなさま、いろいろな人を含めてすべて日本一になっていきたい。その土壌が、この島根にはあると思っています。
今年1年間はしっかり仕掛けづくりを行い、将来、『この年がターニングポイントだったね』と評価をしていただけるような1年にしたいです」(中村社長)
敗戦に悔しい様子だった山下選手も、「試合前の演出や雰囲気がまるで海外リーグのようで、とてもわくわくした」とコメント。
「バンダイナムコエンターテインメントさんには、これからも会場のエンタメを盛り上げていただけたら。その上で、僕たちがプレーで結果を見せることができたら、お客さんもどんどん増えていくのではないかと思います」と、今後への期待を話してくれました。
島根スサノオマジックの開幕戦は、多くの観客と関係者に、笑顔、驚き、勇気を与えるものになったようです。しかし、スポーツが持つ魅力をエンタメが引き出す方法は、まだまだたくさんありそう。
島根スサノオマジックが紡ぎ出す新たな”神話”が、より多くの人に届く感動を生み出すことに期待しましょう。
「島根スサノオマジック」のホーム戦にて、回変りで応援コメント付きキャラパネルが会場に展示されています。
2つの応援メッセージをハッシュタグを付けてSNSに投稿!抽選で各試合ごとに異なるプレゼントが当たります!
選手のサイン入りグッズが当たるチャンスも!?景品は当日までお楽しみに!
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【取材後記】
目まぐるしく展開が変わるテンポ感、華麗なテクニック、コートで生じる激しい接触、タイムアウトの数分間ですら飽きさせないエンタメ性…。今回がプロバスケ初観戦となったカメラマン&編集者も「バスケってこんなに面白いんですね」と、とても興奮していました。みなさんもぜひ、その興奮を体感してみてください!
取材・文/青木美帆(ブルーノオト)
バスケットボール専門誌の編集部を経て、国内バスケ界隈で取材・執筆活動中のライター兼編集者。息子(小1)の影響で、ガンダム、ウルトラマン、ドラゴンボール、仮面ライダーに囲まれた日々を送っている。
https://twitter.com/awokie
撮影:山口真由子