本気で“アソビ”に取り組み、世の中に発信するバンダイナムコエンターテインメントは、インナーブランディングを目的とした社内イベントにも全力投球! 東京ドームを貸し切っての大運動会や趣向をこらした誕生会など、社員向けの社内イベントの数々を手掛ける担当者に、その目的やこだわりを聞きました。
バンダイナムコエンターテインメントが社内イベントにこだわる理由
――バンダイナムコエンターテインメントの社内イベントは、”楽しませ方の本気“さが特徴で、その種類もさまざまです。こうした社内イベントを催す目的について教えてください。
大地:目的はイベントによって異なるのですが、いずれも根本にあるのは“社員同士のコミュニケーションの促進”や、“安らぎの時間をつくる”といったものです。また、東京ドームなどで開催する大運動会のように、普段はなかなかできない経験をしてもらうことで、会社をより好きになってもらいたいという思いがあります。
――楽しいイベントを企画してそれらを実現しているのは、エンターテインメント企業ならではですよね。
大地:はい。アソビをテーマとした会社だからこその部分はあると思います。
末岡:恒例化しているイベントについても、毎年アップデートしてさらにワクワクするような新しいものにしたいと思っているので、「前回こうやったから、今回はもっと面白くするためにどうしたらいいだろう?」と、同じことはしないようにしています。
宮河社長と社員の交流の場、「アソビモットデー」とは?
――ここからは、主な社内イベントとその内容や目的をそれぞれ教えてください。まずは、「アソビモットデー」というイベントが開催されているそうですが、これはどういった内容なのでしょうか?
末岡:社長を始めとした役員と現場社員との交流を目的として数年前から実施されているイベントです。今期は新社長に就任された宮河さんと社員のコミュニケーションを図るイベントとして、よりイベント色を強めています。宮河さんはグループ会社であるサンライズから来た方なので、社長と社員がお互いを知るきっかけになれればと思ったのが目的です。
――具体的にはどのように交流を行なっているのでしょうか?
末岡:宮河さんご自身が資料や映像を交えながら、これまでどういった仕事を手掛けてこられたのか話していただくトークイベントとなっています。トークのテーマや内容は社長ご自身からも「こういうのはどうだろう?」と提案いただきながら一緒に企画しています。
――参加した社員からの評判はいかがですか?
末岡:「宮河社長が考えていることを直接聞くことができて良かった」などの声をいただいています。社員だけが参加するイベントならではの社外では聞けないようなおもしろい話も飛び出しますので、「もっと社長と話してみたい」という要望もいただけています。
――それはおもしろそうですね(笑)。
末岡:イベント後にはアンケートで追加の質問を募集しているのですが、それらはすべて宮河さんにお渡ししてWeb社内報「BNE PLAZA」や、次回のイベントの展示などで回答を公開し、最大限に交流ができるように工夫しています。
社内イベントの域を超えた「バンナム大運動会」
――大運動会ですが、前回はさいたまスーパーアリーナのコミュニティアリーナ、前々回は東京ドームで開催されたとのことで、その規模の大きさに驚きます。
末岡:バンナム大運動会は1年に1回開催され、これまで5回開催しています。社員だけではなく、社員の家族や子どもたちも参加して、みんなが楽しめるイベントなんです。もちろんメインの競技は毎年チーム同士が熱い戦いを繰り広げ盛り上がりますが、会場にはメイン競技に出場していない人も楽しめるコーナーが多く用意されていて、そこで獲得した点数がチームの点数に加算されるようになっています。社員であるお父さんお母さんがメイン競技のリレーで点数を取り、そのお子さんがミニゲームで点数をとってチームに貢献する、といったような、参加者の誰もが手持ち無沙汰にならないように工夫しています。
末岡:そして、ここでも大切にしているのが、「運営側も楽しんでイベントを作る」「今までやってきたものと同じことは極力しない」という2点です。参加する方が毎回ワクワクできるイベントにしたいと強く意識しているのも特徴ですね。
大地:そもそもバンダイナムコエンターテインメントには、人をいかに楽しませるかを大事にしている社員が多くて、運営側もイベントが本当に好きなんですよね。だから運動会もかなり本格的なことになっています(笑)。運動会で出すフードひとつとっても、「自分で体験したものや味わったもの以外は出さない」といったこだわりがあり、担当者が現地に行って試食し、吟味したものを実際に提供しているんですよ。
――もはや社内イベントの域を超えて、夏フェスのようですね(笑)。
末岡:運動会の運営に協力いただく委託先についても、一社にすべてを任せるのではなく、複数の会社に集まっていただいてみんなで意見を出し合って作っています。今年も10社以上の方に毎週集まっていただいて、それぞれの会社が得意な分野を活かして、当日まで一緒に取り組ませていただきました。
大地:毎年、運動会が終わった段階で、来期の運動会に向けて動き始めているので、1年くらいかけて作っているイベントなんですよ(笑)。
驚くほどの豪華プレゼントも!?社員の誕生日を祝うバンナム誕生会
――バンナム誕生会について教えてください。
大地:誕生月の社員を招待し、料理やお酒を楽しみながらお祝いします。ほかの部署の社員、そして宮河社長や役員との交流をする場でもあります。アソビモットデーよりももっと直接的に宮河社長と交流できるイベントです。
――社長だけでなく役員の方々も参加されるんですね。
大地:自分の所属している部署以外の役員とかかわる機会はあまりないので、そういう場を提供したいという思いがあります。実際に誕生会でできたつながりによって生まれたプロジェクトもあるんですよ。役員に「こういう企画があるんです」と直談判して、そこから企画書を提出するなど、誕生会は新しいアイデアを生む場にもなっています。
――誕生会といえば、非常に豪華な宝くじが配られるとか!
末岡:「バンナムドリーム宝くじ」は誕生会の名物です。
大地:残念ながら私たち運営側は公平を期すため参加できないのですが、それが心から悔しく思うくらい、豪華な宝くじなんですよ(笑)。
――運営側だからこその悩みですね(笑)。当選者はどんな賞品がもらえるんですか?
末岡:運営側が用意するのではなく、当選者の方が欲しいモノをリクエストできる、まさにドリーム宝くじです!
――そうなんですか!?
末岡:もちろん常識の範囲内ではありますが、これまでは、モロッコへの家族旅行やお部屋のリフォームなどのリクエストがありました。
――常識の範囲内と言いつつ、とても豪華ですね!
大地:かなりギリギリまでは攻められると思います(笑)。
――運動会と同じようにフードにもかなりこだわりがあるみたいですね。
大地:毎年趣向を凝らしていますし、毎年改善を重ねています。去年はハンバーガーだったのですが「大きくて食べづらい」という声があったので、今年はキッシュなどの片手で食べやすいフィンガーフードを用意しています。
大地:ケーキも大きめのホールケーキを用意するのですが、花やハロウィンなどの季節のイベントといった、毎回違うテーマでデザインしたケーキになっています。また、参加者に渡すお土産も毎年変えていて、去年はトートバッグ、今年はアート・キャンディ・ショップのパパブブレさんにお願いしてパックマンやゴーストのデザインで作ってもらったキャンディーにしました。
――社員は誕生会を開催されるだけでうれしいと思いますが、細かいところまで気を配られているんですね。
大地:どのイベントもそうですが、参加された方が楽しんでいただけるように、そして飽きてしまわないように、毎年趣向を凝らすようにしています。そのためにアンケートを実施して、次回の検討材料にしたりしています。事後のヒアリングはとても大事だと思っています。
イベントを通して会社をより好きになって、より良い仕事につなげたい
――イベントの目的は冒頭でも教えていただきましたが、担当者としてここまでこだわり、取り組めるのはなぜでしょう?
大地:一番は社員の方に楽しんでいただくことです。それぞれのイベントに目的はありますが、その根底には“楽しいからイベントに足を運ぶ”という動機がないといけない。せっかく時間を割いて来ていただくものなので、「来て良かった」と思ってもらえる施策にしたいと考えています。
末岡:どんなかたちであれ、イベントが社員同士のコミュニケーションのきっかけになれば一番嬉しいと思っています。「あのイベントに一緒に行かない?」とか「この前のイベント面白かったよね」など、話のきっかけになったら嬉しいので、イベント後でも交流のきっかけになるような楽しいものを作りたいですね。
――同じ会社の社員が主なターゲットではありますが、これも“ユーザー第一主義”の一つの形ですよね。
大地:社内の雰囲気の醸成はコーポレートコミュニケーション部の役割なので、私たちにとっては社員が“満足してもらうべきユーザー”なんです。「この会社に入って良かったな」と社員に思ってもらえれば、それが良い製品やサービス作りにつながって、結果的にお客さまに還元できると考えています。
【取材後記】
社内レクリエーションの枠を超えたこだわりを見せるバンダイナムコエンターテインメントの社内イベントですが、その担当者自身がイベント作りを楽しんでいる様子や、社員の満足の先にユーザーがいるというスタンスが印象的でした。
取材・文/坂上 春希
1984年生まれのコンテンツプロデューサー。ライター/カメラマンとしても、ガジェット、ビジネス、インテリア、カルチャー、テクノロジー等の分野に渡りメディアや広告の分野で活動中。