『ELDEN RING』制作陣に聞く!ローカライズで意識したポイントや今後の商品展開は?【Q&A後編】

先日公開された記事で募集したフロム・ソフトウェア最新作『ELDEN RING』に関する質問を募集したところ、たくさんのご応募をいただきました。今回、その中から読者のみなさまの関心が高そうなご質問をピックアップし、フロム・ソフトウェアの北尾泰大さん、バンダイナムコエンターテインメントの吉村篤雄さんに答えていただきました。 (Q&A企画のご質問につきましては、終了しております。)

2022年2月25日に発売されたフロム・ソフトウェアとバンダイナムコエンターテインメント共同開発のアクションRPG『ELDEN RING』。本作の発売前日、ファンファーレではフロム・ソフトウェアの北尾さんとバンダイエンターテインメントの吉村さんに行ったインタビュー映像を公開し、その記事で募集した読者のみなさまからのご質問へのご回答をお二人からいただきました。前編に続き後編では、本作のリリース前に行われたネットワークテストや今後の展開などについてお話しいただいています。

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北尾 泰大

フロム・ソフトウェア所属

『ELDEN RING』の宣伝・制作を担当。関連作品として『Blooodborne』や『SEKIRO: SHADOWS DIE TWICE』なども手がける。

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吉村 篤雄

バンダイナムコエンターテインメント所属

『ELDEN RING』のプロデューサーを担当。海外事業部で家庭用ゲーム『鉄拳6』などの海外マーケティング業務に携わる。フロム・ソフトウェアとの協業においては『DARK SOULS』シリーズを含み現在までに計5タイトルを手がける。

Q.正式なサービス開始に先立ち、お客さまに事前テスターとしてゲームをプレイしていただいたネットワークテストで、リリース前に得られたことや新たな発見はどんなものだったでしょうか。

吉村:まず、ネットワークテストを実施して改めて世界中のお客さまからの期待感や熱量を肌で感じることができ、バンダイナムコエンターテインメント制作陣一同、身が引き締まるとともに大変励みになりました。そうした機会を与えてくださったお客さまに、この場をお借りして感謝をお伝えできればと思います。また、基本的な検証項目であったオンライン負荷という点以外でも、さまざまなお声をいただくことができました。

北尾:同じくさまざまなフィードバックをいただき、それぞれ大変参考になりました。特に、長い開発期間のなかで我々にとっては当たり前になってしまっていても、ユーザーの皆さまにとっては分かりにくい仕様、気づきにくい部分に関する意見はとても貴重でした。ネットワークテストに応募してくださった皆さま、また、参加してくださった皆さま、誠にありがとうございました。

Q.マップがあまりに広いのでデバッグも大変そうですが、デバッグ作業はどのように行ったのでしょうか?

吉村:バンダイナムコエンターテインメント側での対応は、できるだけ多くのテスターを確保しつつ、作業効率の向上を目的にタスクをできるだけ分担したことが挙げられます。まさに人海戦術でしたね(笑)。

Q.バンダイナムコエンターテインメント、フロム・ソフトウェア両社から見たお互いの強みを教えてください。

吉村:フロム・ソフトウェアさまの強みは、圧倒的なクリエイティビティ―、徹底したお客さま目線、そして目標を達成するための執念です。尚且ついずれもワールドワイドで通用する普遍的な価値観というところがポイントでしょうか。両社が協業して大分時間が経ちましたが、今でも大変学ばせていただくことが多いです。

北尾:ありがとうございます(笑)。バンダイナムコエンターテインメントさまの強みはさまざまありますが、やはり世界各地に拠点があり、そしてそれぞれの連携が強いことでしょうか。もちろん各地の意見をヒアリングして調整する、吉村さんら日本のチームの皆さんの力も大きいのだと思います。

Q.各国で遊べるように、ワールドワイドでの展開やローカライズで意識したことはあるのでしょうか?

吉村:その時の市況を見ながら、可能な限り多くの言語に対応しています。フロム・ソフトウェアさまとの協業という意味では、『ELDEN RING』はタイ語に対応した初タイトルとなります。あらかじめタイ語のネイティブの人間をチームの一員に迎えたうえで、フォントの選定、グロッサリー(用語解説集)作成の段階からローカライズに関わってもらいました。ローカライズ部分含めタイのお客さまにご満足いただけているとうれしいです。

Q.本作での個人的にお気に入りのエリア(マップ)や思い入れのあるキャラクターやボスを教えてください。

吉村:“ミケラの刃、マレニア”です。本作における重要なキャラクターのひとりということもあって、バンダイナムコエンターテインメント側一同、2019年の初出トレーラー以降、非常に長い間向き合ってきました。特に各種イベントで展開した等身大スタチュ―や豪華版特典のフィギュアは、『ELDEN RING』の魅力的なキャラクターを全世界のお客さまに直接お伝えすることのできるものになるため、その作成に当たってみんな精一杯力を入れました。ゲーム内での彼女の強さには四苦八苦すると思いますが、多くのお客さまに強さも含めたマレニアの魅力を感じていただけたらと思っています。

Q.メリナやラニのフィギュアなど、今後のグッズ化などご予定がありましたら教えてください。

吉村:フィギュアについては、ファンの方々に喜んでいただけそうな商品を多数企画・監修中です。バンダイナムコエンターテインメントのグループ会社であるBANDAI SPIRITSより魂ネイションズのアクションフィギュアブランド「S.H.Figuarts」および「Figuarts mini」が今年発売される予定です。またほかの領域でもワールドワイドで商品展開を広げていきたいと考えております。

髪の長い人の人

自動的に生成された説明
ゲーム序盤に登場し、ストーリーに関わってくるメリナ
草, 立つ, 大きい, 座る が含まれている画像

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メリナ同様序盤から登場するラニ

――最後に読者へのメッセージをお願いします。

吉村:『ELDEN RING』ですが、企画開始から長年にわたって、国内外の非常に多くの方が関わるかたちで発売まで漕ぎつけました。そのうえで、より多くのお客さまに楽しんでもらいたいという思いで、ユーザビリティ、オンボーディング、ローカライズといった要素にバンダイナムコエンターテインメント一同今まで以上に力を入れました。まだプレイしていない方は、これを機会にぜひ一度プレイしてみていただければうれしいです。

北尾:『ELDEN RING』をさまざまなかたちで話題にしてくださった皆さま、プレイしてくださった皆さま、誠にありがとうございます。「狭間の地」での冒険を楽しんでいただけているのであれば、我々としてもそれ以上にうれしいことはありません。

【編集後記】
『ELDEN RING』の発売から約2ヶ月が経過し、このボリュームある世界観を堪能したプレイヤーも増えてきたのではないでしょうか。今回の読者の質問への回答を通して、フロム・ソフトウェアの高い開発力やプレイヤーを惹き付けるストーリー、バンダイナムコエンターテインメントの海外ネットワークを駆使しておこなわれたローカライズやプレイテスト、海外版のデバッグなど、両社の連携なしでは本作が成り立たなかったのだと感じました。

お二人の回答から、リリース後だからこそ語れる制作の舞台裏が垣間見え、本作へ真摯に向き合ってきた両社の姿勢を伝わってきました。今後もアップデートや追加情報などあるかもしれないので『ELDEN RING』から目が離せませんね!

Q&Aの前編では、両社が本作を制作するうえで重視したポイントなどについてご回答をいただいています↓

©Bandai Namco Entertainment Inc. / ©2022 FromSoftware, Inc.

村田征二朗
1989年生まれのライター。しゃれこうべ村田、垂直落下式しゃれこうべライターMなどの名でも活動し、コンシューマータイトルやスマートフォンアプリのインタビューや攻略記事を執筆。原稿料の8割はプロレス観戦のチケット代に消える。好きな装備は隕鉄の刀とギーザの車輪、そしてガンメンの盾。