『太鼓の達人』がアニメやゆるキャラに!ゲームを超えて広がるキャラクターの魅力

2022年9月22日、家庭用新作ゲーム『太鼓の達人 ドンダフルフェスティバル』(以下、『ドンダフルフェスティバル』)が発売された『太鼓の達人』シリーズ。

今回は、IP(※1)戦略・統括担当の佐藤秀俊さん、『ドンダフルフェスティバル』プロデューサーの上田彩乃さん、ライセンス業務を担当されている西森遼さんの3名に、『太鼓の達人』の世界をゲーム外に広げる取り組みについてお聞きします。

『ドンダフルフェスティバル』の注目ポイントから新キャラクター くもきゅん誕生の背景、YouTubeショートアニメとグッズの役割まで、キャラクターにまつわるお話が盛りだくさんです!

※1 IP:Intellectual Property の略で、キャラクターなどの知的財産のことを指します。

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佐藤 秀俊

バンダイナムコエンターテインメント所属

『太鼓の達人』シリーズIP戦略・統括担当
家庭用ゲームのプロデューサーなどを経て現職。IP全体の方針を考えてチームをリードする。

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上田 彩乃

バンダイナムコエンターテインメント所属

家庭用ゲーム『太鼓の達人 ドンダフルフェスティバル』プロデューサー
ニンテンドー3DS、WiiU、PlayStation4、Nintendo Switchでの『太鼓の達人』シリーズ制作に携わる。

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西森 遼

バンダイナムコエンターテインメント所属

『太鼓の達人』シリーズ ライセンス担当
入社当時からライセンスプロダクションにて版権営業業務に携わったあと、『太鼓の達人』シリーズのIPのライセンス業務を担当。

『太鼓の達人 ドンダフルフェスティバル』は長く遊べるフラッグシップタイトル

――まず2022年9月22日に発売された『ドンダフルフェスティバル』についてお聞きしたいのですが、こちらは過去作とはどういった点が異なるのでしょうか。

佐藤:『太鼓の達人』シリーズはファンの性別や年齢、プレイスタイル、あるいは楽曲の趣味嗜好にいたるまで、非常に幅が広いんですよ。その広い層をすべてカバーして、長く遊べるフラッグシップタイトルとなるものを作ろう、というのが今回の大きなコンセプトです。

また、多種多様なニーズに応えられるよう、今作ではサブスクリプションで全500曲以上が遊べます。サブスクリプションを取り入れるのは、家庭用シリーズ史上初めてです。

『太鼓の達人』シリーズIP戦略・統括担当の佐藤秀俊さん
『太鼓の達人』シリーズIP戦略・統括担当の佐藤さん

上田:長く遊んでいただくために、『ドンダフルフェスティバル』ではやり込み要素を追加しています。

例えば、どうすれば演奏が上達するのか分からない方たちに向けた『上達サポート』。次にやるオススメの曲を選んでくれたり、苦手なところを可視化して上達までの道を分かりやすくしてくれたりするんです。上達したら、オンラインで世界中のプレイヤーとの演奏バトルにも挑戦してみてほしいですね。

また、オミコシティという世界に入って『どんちゃん』たちと一緒に太鼓マスターを目指すストーリーも、長く楽しめる要素のひとつです。

『太鼓の達人 ドンダフルフェスティバル』プロデューサーの上田さん
『太鼓の達人 ドンダフルフェスティバル』プロデューサーの上田さん

――『ドンダフルフェスティバル』では新キャラクターとして、くもきゅんが登場していますね。こちらはどういった経緯で誕生したのでしょうか。

佐藤:今作の舞台であるオミコシティという世界にやってきた時に、その世界の住民としてのガイドが欲しかったんです。『どんちゃん』はプレイヤーにとって過去作を通じて一緒に遊んできた仲間ともいえるので、それとは別の案内役が必要で。つまり、くもきゅんはこれまでの『太鼓の達人』からさらに広がる世界を作り出すために生まれたキャラクターといえますね。

どんちゃんとくもきゅん

上田:今回はさまざまなモードを収録しているので、遊び方に応じて変身できるキャラクターが欲しかったというのもあります。雲だったら自由に形を変えられるし、太鼓を背負った雷神を想起させるものとして雷雲がモチーフのくもきゅんが生まれました。

佐藤:設定上、くもきゅんは雷神の子どもということになっています。

上田:『ドンダフルフェスティバル』のストーリーでもそのあたりが肝になっているので、ぜひプレイしていただけたらうれしいです。『上達サポート』でマッチョな姿になってアツく応援してくれる、パッション溢れるくもきゅんにもご注目ください!

『太鼓の達人 ドンダフルフェスティバル』制作陣

YouTubeショートアニメで、キャラクターたちを好きになってほしい

――『太鼓の達人』は昨年11月にYouTubeチャンネルが開設され、ショートアニメなどが公開されています。そもそもチャンネルを立ち上げた狙いは何だったのでしょうか。

佐藤:『太鼓の達人』には、『どんちゃん』たちのようなキャラクター、オリジナル楽曲、あるいは太鼓演奏の上手さを競うeスポーツ的な側面など、切り口や魅力がたくさんあるんですよね。そういったものをコンテンツにして、ゲーム外でもファンとつながりたいと思ったんです。

YouTubeチャンネルは『太鼓の達人』に関する情報やファンたちが集まるコミュニティみたいなイメージで、そのなかのキャラクター軸としてショートアニメを展開している、というかたちですね。

上田:コアな『太鼓の達人』ファン、いわゆる『ドンだー』の方から新しく入ってきたカジュアルな方まで、全体的に評判が良くて、コメントもすごく温かいんですよね。やさしく迎え入れてもらえてうれしかったです。

――ちなみに、皆さんのお気に入りはどの回ですか?

佐藤:ちゃんとしたまじめなストーリーが1本あるんですが、これが本当に良いお話で。普段は「おならが止まらないとどうなるのカッ!」みたいな、ネタに振り切った回が多いんですけど(笑)。そことのギャップをぜひ楽しんでもらいたいですね。

1話完結のネタ回と、熱血少年が太鼓の達人を目指すストーリー回のバランスが重要

上田:ものすごく宣伝っぽくなってしまうのですが、私のお気に入りは『ドンダフルフェスティバル』とのコラボ回ですね(笑)。新キャラクター くもきゅんが登場して、アニメのキャラクターたちにオミコシティを紹介してくれるんです。

アニメとゲームの世界が絡み合う回で、「いつものオミコシティとちょっと違うね」みたいなメタネタもありつつ新作を紹介しています。

西森:僕は、「生配信切り忘れたドン…」ですかね。サムネイルで『どんちゃん』のフタが外れて中身が見えそうになっていて、すごく攻めているなって(笑)。皆さんの評判も良くて、僕自身、何回もリピートして見てしまいました。

佐藤:実は、あれは元ネタになったアクシデントがあるんです。

上田:その話はこれくらいにしておきましょう(笑)。

『太鼓の達人 ドンダフルフェスティバル』

好きの気持ちを深めるグッズ

――『太鼓の達人』のグッズについても伺っていきたいのですが、グッズ展開はIPを広げていくうえでどのような役割を担っているのでしょうか。

西森:『太鼓の達人』をさらに好きになってもらうために、自分の好きを表現できる場所としてライセンス商品を展開していくことが大事だと思っています。ゲームなどでもっていただいた興味の先にグッズがある、というイメージです。

『太鼓の達人』シリーズ ライセンス担当の西森さん
『太鼓の達人』シリーズ ライセンス担当の西森さん

――YouTubeのアニメでは、BANDAI SPIRITSから発売されたぬいぐるみとのコラボ回もありました。こちらはどういった経緯で制作されたのでしょうか。

西森:『ドンダフルフェスティバル』の発売に合わせてグッズ側からも盛り上げていこうと考えていまして、そのなかでBANDAI SPIRITSと『太鼓の達人 でっかいぬいぐるみ』をプライズ(※2)として展開しました。

久しぶりの新作なのでお祭り的に盛り上げたくて。佐藤さんや上田さんに相談したところ、アニメのコラボ回というかたちでプロモーションができるということだったので、ぜひやらせていただきたい、と。

※2 プライズ:ゲームセンターの景品のこと

『太鼓の達人 でっかいぬいぐるみ』
『太鼓の達人 でっかいぬいぐるみ』

西森:ぬいぐるみのタグにはQRコードが付いていて、読み込むと『ドンダフルフェスティバル』の公式サイトに飛べるようにしています。プライズにQRコードを付けること自体は他社さまも行われているのですが、ゲームの発売と時期を合わせて、というのは見たことがなかったので、新しいことができたかなと思います。

『太鼓の達人 でっかいぬいぐるみ』をもつ西森さん

――多彩なグッズ展開のなかで『たいこフレンズ』と題されたTシャツやトートバッグなどは、キャラクターたちがゲームのままではなく、色味などに変更が加えられてゆるいテイストになっていますね。こちらの制作にはどういった背景があったのでしょうか。

西森:ゲーム内に入っているようなキャラクターの絵には、ファンの皆さんも馴染みがあると思います。ただ、例えば会社で働かれている方が身に付けたりすることを考えると、ゲーム素材のままでは少し色味が強い側面もあると考えています。

なので、普段使いしやすいように色味をちょっと淡くして、線も少し柔らかくしたシリーズを展開しよう、ということで生まれたのが『たいこフレンズ』になります。

『たいこフレンズ』 のクリアファイルとマグカップ
『たいこフレンズ』 のデザイン

日常のなかに『太鼓の達人』が溢れる世界へ

――最後に、今後『太鼓の達人』をこう広げていきたい、という展望をお聞かせください。

西森:僕は、『太鼓の達人』を好きになった方がすぐに手に取って楽しめるような商品をこれからも出していきたいです。皆さんの思う『太鼓の達人』の世界観に寄り添った商品をお届けしたいと考えているので、ライセンシーの方々と協議を重ねながら、ファンの皆さまによりいっそう喜んでいただけるような商品を世の中に溢れさせたいなと思っています。

上田:良いコメントだ。

佐藤:最後に言うやつだよ(笑)。

上田:私は家庭用の担当なので、今回の『ドンダフルフェスティバル』を海外の皆さんにもたくさん遊んでいただきたいです。サブスクリプションに世界でも人気のある日本の楽曲や現地で親しまれている楽曲を追加したりすることで、ゲームのなかでも進化を続けていきたいですね。

『太鼓の達人 ドンダフルフェスティバル』プロデューサーの上田さん

上田:また、直近の展開としては11月17日から『ホロライブ』さんとのコラボがスタートしています。『ホロライブ・ゴールデンゲームウィーク』というイベントで『太鼓の達人』を使った大会を開いていただいて、そこで優勝したチームに『太鼓の達人』チームが曲を作り、歌ってもらった曲がゲームに収録されるという、大掛かりな施策になっています。

家庭用だけでなくアーケード版やスマートフォンアプリでも楽曲が実装されるので、ぜひ注目していただきたいですね。

――佐藤さんの展望はいかがでしょうか。

佐藤:『太鼓の達人』は10秒で遊び方が分かるというのが強みなので、それを活かして展開していきたいです。

『太鼓の達人』を遊べるデバイスやプラットフォームは家庭用やアーケード版、スマートフォンアプリ以外にもまだまだたくさんあると思うので、カラオケボックスでもファミレスでも、モニターがあるいろいろなところで『太鼓の達人』を遊べる状態を目指したいです。

また、『ドンダフルフェスティバル』というフラッグシップタイトルを通して、ファンの皆さんと一緒に『太鼓の達人』を運営していきたいなとも思っています。

例えばファンの方が専用の譜面を作ってアップロードできるような機能を追加したり、皆さんと作る『オミコシスターズ』(※3)の楽曲をゲームに実装したりして、ゲームの内外からみんなで『太鼓の達人』をアップデートしていきたいです。

※3 オミコシスターズ:『太鼓の達人 アニメば~じょん!』に登場するアイドル

『太鼓の達人 ドンダフルフェスティバル』制作陣

ファンファーレでは皆さまのご意見、ご感想を募集しております! 編集部にて拝見させていただきました上で、今後の改善のための参考にさせていただきます。

【編集後記】
最新作『ドンダフルフェスティバル』でも、かわいらしい世界観は変わらずの『太鼓の達人』シリーズ。既存のデバイスにとらわれず展開した『太鼓の達人』がどんな世界を見せてくるのか楽しみです。25周年、30周年を迎えるころにはどんな太鼓が登場しているのカッ!

村田征二朗
1989年生まれのライター。しゃれこうべ村田、垂直落下式しゃれこうべライターMなどの名でも活動し、コンシューマータイトルやスマートフォンアプリのインタビューや攻略記事を執筆。原稿料の8割はプロレス観戦のチケット代に消える。

Taiko no Tatsujin™Series & ©Bandai Namco Entertainment Inc.
太鼓の達人™ ドンダフルフェスティバル & ©Bandai Namco Entertainment Inc.