『太鼓の達人プラス』×長野県!地域と密接に結びついたコラボが生み出す体験と可能性

リズムゲームの定番『太鼓の達人』のスマートフォンアプリ『太鼓の達人プラス』が長野県とコラボ! 地方自治体とのコラボでどんな化学反応が起きるのか。ゲームという枠組みを越え多彩な展開を進める『太鼓の達人プラス』チームにインタビューしました。

本コラボの経緯から、長野県歌『信濃の国 (アルクマ・ダンス・バージョン)』の楽曲配信、善光寺で行われる「長野灯明まつり」へのブース出展など、ゲームと地方自治体とのコラボがもつ可能性について、プロデューサーの川嶋康師さんとマーケティング担当の菅原香奈さんにお話を伺いました。

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川嶋 康師

バンダイナムコエンターテインメント 第2IP事業ディビジョン 第2プロダクション

2020年より『太鼓の達人プラス』および『太鼓の達人Pop Tap Beat』のプロデューサーを務める。

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菅原 香奈

バンダイナムコエンターテインメント 第2IP事業ディビジョン 第1プロダクション

マーケティング担当として『太鼓の達人プラス』の魅力を届けるべく、さまざまな施策を企画・実行する。

『太鼓の達人プラス』と長野県が異色のコラボ!

――まずは『太鼓の達人プラス』について簡単にご説明をお願いします。

川嶋:シンプルな説明となってしまいますが、スマートフォンで遊べる『太鼓の達人』です。ダウンロード無料で20曲ほど遊べて、サブスクリプションサービスである「楽曲取り放題」に加入することで700曲以上が遊べるようになります。運営開始が2010年5月なので、12年も運営継続しており、スマートフォンアプリのなかでも長寿タイトルです。

『太鼓の達人』シリーズのなかの立ち位置としては、誰でも持っているスマートフォンというデバイスを通して、手軽に『太鼓の達人』の演奏ゲームを提供し、より多くの人に『太鼓の達人』のおもしろさを知ってもらう役割を担っています。

『太鼓の達人プラス』プロデューサー川嶋康師
『太鼓の達人プラス』プロデューサー 川嶋さん

――今回『太鼓の達人プラス』が長野県とのコラボを行うとのことですが、地方自治体とコラボするという案はどのように生まれたのでしょうか。

川嶋:『太鼓の達人』は日本国内で知らない人がほとんどいないくらい知名度があるんですよね。ただ、遊びはじめるきっかけを作るのがなかなか難しいので、その新しいきっかけとして「地方自治体」に注目したんです。今回ご協力いただいた長野県は人口約200万人で、長野県が故郷の方や、県外から仕事や旅行で訪れる方を含めれば、かなりの方々に『太鼓の達人』をリーチできるのではないかと考えました。

菅原:マーケティング担当としても、『太鼓の達人プラス』を楽しんでいただける方を増やしたいという思いがありました。これまではオンライン上での施策が中心で、『太鼓の達人プラス』としてリアルイベントへ出展した実績はなかったので、その効果検証も狙いです。

ただ手当たり次第にイベントを開催するのではなく、「地域とのコラボ」という新しい切り口で実施することで、これまでの施策とまた違った体験価値を提供できると考えています。『太鼓の達人』は知っているけどまだダウンロードしたことない、という方たちも、会場で『太鼓の達人プラス』を実際にプレイしていただき、今後アプリのダウンロードをする後押しになればうれしいです。

――「長野県」とのコラボ、というのはどのように決定したのでしょうか。

菅原:日本全国どの自治体とコラボをしようかとなった時に、長野県観光部の担当の方とお話したのがきっかけです。長野県のPRキャラクターの「アルクマ」の起用や、長野県歌である『信濃の国』などをご提案いただき、スピード感のあるやり取りで対応してくださり、実現することができました。

『太鼓の達人プラス』マーケティング担当 菅原香奈
『太鼓の達人プラス』マーケティング担当 菅原さん

――今回のコラボでは長野県民に広く知られている県歌『信濃の国 (アルクマ・ダンス・バージョン)』が楽曲として配信されますが、『太鼓の達人プラス』ではこういった自治体と連携する試みは珍しいのでしょうか。

川嶋:『太鼓の達人』シリーズとしては過去にも事例があると聞いていますが、『太鼓の達人プラス』としては初めてですね。長野県観光部の方々や長野県出身者などに聞くと『信濃の国』は長野県民にとってのソウルソングのようなものだということで、今回のコラボにマッチする楽曲になるだろうと考え採用しました。

菅原:小さな子どもたちにも馴染みのある歌という意味でもそうですし、大人にとっても自分の懐かしい曲が入っているゲームはなかなかないと思うので、そういったレア感も味わっていただけたらうれしいですね。

川嶋:ちなみにオリジナルの『信濃の国』は、すごくゆったりした曲なんですよね。そのため、ノリとテンポが良くて、アルクマとの接点も出せる『信濃の国 (アルクマ・ダンス・バージョン)』を長野県観光部の皆さんがご提案くださいました。YouTubeにもアルクマがかわいくダンスする動画がありますので、ぜひ見てください!

『太鼓の達人プラス』のゲーム画面

――2023年2月11日・12日に開催される「長野灯明まつり」へ出展されるそうですが、内容としてはどのようなものになるのでしょうか。

菅原:『太鼓の達人プラス』のブースでは楽曲取り放題で配信している700曲以上がプレイ可能となっている端末を置きますので、本作の魅力を体験していただきたいです。また、『太鼓の達人プラス』をダウンロードしてブースにお越しいただいた方には、ノベルティとして光るLEDスティックバルーンを両日先着100名様限定でプレゼントいたします。

こちらはアルクマと『太鼓の達人プラス』をモチーフにしたオリジナルデザインで、叩くと光る仕様で制作しました。会場でこれを持ち歩いている方を見て『太鼓の達人プラス』に興味をもっていただけたらうれしいです。また、ブースにはアルクマも来てくれるので、ぜひ会いにきてください!

――今回のコラボでは長野県の特産品をギフトとしてもらえる、といった太鼓の達人スマートフォンの公式Twitterキャンペーンもありますが、こちらはどのように決定したのでしょうか。

菅原:長野県出身の友人に、地元の人は何をもらったらうれしいのか、みたいなことを聞いたんです。そうしたら結構ばらばらで、特定のものが欲しい、というよりは長野県の特産品を自分で選びたいということだったので、カタログギフトが良いのではないか、と考えました。

川嶋:個人的には、長野県についてじっくりリサーチしていくなかで見つけた「土偶」を推していたのですが……。長野県には「仮面の女神」をはじめとした国宝の土偶があって、その複製品が地域色も強いし、かっこいいし、キャンペーンのプレゼントにしたら喜ばれるだろうと提案したのですが、今回は方向性が違うとのことで、採用を見送ることになりました。

菅原:土偶はまたの機会にしましょう(笑)。

川嶋:厳選された長野県ゆかりのプレゼントがもらえる公式Twitterキャンペーンは、2023年2月9日14:00から開始で、太鼓の達人スマートフォンの公式Twitter(@taikosp)のフォローとキャンペーンツイートのリツイートで応募可能なので、ぜひご参加ください!

『太鼓の達人プラス』×長野県コラボ記念キャンペーン

ゲームが地方自治体とコラボすることの可能性

――今回、長野県との取り組みを実施して感じた地方自治体とのコラボの可能性についてお聞かせください。

菅原:今回のコラボが上手くいけば、別の地域から「うちにはこんな曲があるんです」という声をいただけるかもしれないですよね。新たな『太鼓の達人』を遊ぶきっかけが生まれる可能性もあり、そういった部分にも期待しています。『太鼓の達人』は国内での認知度が高いだけでなく、老若男女問わず遊べるゲームでもあるので、地域に根差した歌などがあればコラボが検討しやすく、それも強みだと思います。

川嶋:これまで、家庭用やゲームセンター版ではesportsの切り口で地方自治体コラボの話をいただくことがありました。これも『太鼓の達人』を広げるすてきな企画だと思います。

その一方、esportsなどの競技とは別軸で、地域との関わりや地域イベントなどの方向で模索したのが今回の取り組みです。多くの人が手軽に気軽にアクセスできるスマートフォンアプリだからこそ、これまで『太鼓の達人』に触れていなかった方にも楽しんでいただけると思っています。このコラボを事例として、さまざまな自治体との連動も検討したいです。

『太鼓の達人プラス』プロデューサー川嶋康師と『太鼓の達人プラス』マーケティング担当菅原香奈

――コラボの候補となる地域は日本全国にあるかと思いますが、今後『太鼓の達人プラス』でやってみたいことはありますか?

菅原:今後はご当地のインフルエンサーや芸能人などとタッグを組んで、『太鼓の達人』の魅力を伝える手法も考えていきたいです。『太鼓の達人』は演奏ゲームを楽しく遊んでいるところを見ていただくことが、一番魅力が伝わりやすいと思っているので、そういった地域に根差した影響力のある方たちとご一緒に企画をできたらすばらしいですね。

川嶋:特定地域とのコラボとは別の話となりますが、今後やってみたいこととしては2つあります。1つめはデジタルゲームと現実が地続きだと思わせる体験が作り出せたらおもしろいなと考えています。『太鼓の達人』をミュージカルや2.5次元舞台にして、上演中に『太鼓の達人』を観客がスマートフォンで一斉にプレイすると舞台上で何かが起きるような、ゲーム・演者・観客が一体になる体験を仕掛けてみたいです。すごくワクワクするものができると思います。

また、2つめとしては、『太鼓の達人』のファン同士がつながり、『太鼓の達人』が好きだという気持ちを素直に共有できるコミュニティづくりをしていきたいですね。ファンの皆さんが、「好き」を語り合える場所を提供することも、運営が提供できる体験だと思っています。

――最後に、『太鼓の達人プラス』ファンの方々へのメッセージをお願いします。

菅原:今回の長野県とのコラボを楽しんでほしいのはもちろん、さまざまな地域で『太鼓の達人』の魅力が広がるような施策を考えています。公式Twitterへのリプライなどもチェックしているので、何かご意見があればぜひお寄せいただければと思います。

川嶋:先ほども少し触れましたが、『太鼓の達人』が好きだということを、共有したり発信したりする場、コミュニティを作っていきたいです。『太鼓の達人』は演奏ゲームがおもしろいことはもちろんですが、どんちゃんなどをはじめとしたキャラクターや、オリジナルソングなど語れる要素がいくつもあります。YouTubeにある太鼓の達人 公式チャンネルでは、本作をより広く、深く知っていただけるような発信をしています。ぜひ、これからも注目していただけるとうれしいです!

最後に改めてお知らせなのですが、『信濃の国 (アルクマ・ダンス・バージョン)』の配信とTwitterキャンペーンの開始は2023年2月9日14:00~、長野灯明祭りでの出展は2月11日17:00~、2月12日16:00~の2日間、両日限定100名様限定となりますがノベルティも用意しています。皆さんのご参加と灯明祭りへのご来場、お待ちしております!

『太鼓の達人』どんちゃんのぬいぐるみ

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【編集後記】
リズムゲームとして知らない人はほぼいないといっても過言ではない『太鼓の達人』。作品自体が太鼓を扱っているということもあり、各地方の県歌やお祭りなどとの相性が抜群なのは想像に難くありません。『太鼓の達人』ミュージカルはかなり楽しそうなので、ぜひとも実現してほしいところですね。長野灯明まつりに参加される方はぜひ現地でもらえるというLEDスティックバルーンで祭りをドドンと盛り上げてください!

取材・文/村田征二朗
1989年生まれのライター。しゃれこうべ村田、垂直落下式しゃれこうべライターMなどの名でも活動し、コンシューマータイトルやスマートフォンアプリのゲーム関連記事を執筆。原稿料の8割はプロレス観戦のチケット代に消える。

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