これまで、ファンファーレでは『テイルズ オブ』シリーズの制作陣にインタビューを行い、20本以上の記事をお届けしてきました。今回はその中から、先日3周年を迎えた『テイルズ オブ アライズ』の関連記事6本をピックアップ。ゲームやグッズの制作に携わってきたバンダイナムコグループのメンバーが語る、ここでしか読めない記事をまとめました。間もなく30周年を迎える本シリーズ。改めて振り返ることでより深く、より広く知れること間違いなし!?
1995年にスーパーファミコン用ソフトとして発売された『テイルズ オブ ファンタジア』を皮切りに、キャラクターたちの冒険・成長・絆の物語が描かれる作品を多数生み出してきた『テイルズ オブ』シリーズ。
2023年11月9日には最新作『テイルズ オブ アライズ』(以下、『アライズ』)の大型ダウンロードコンテンツ『テイルズ オブ アライズ – Beyond The Dawn』(以下、『Beyond The Dawn』)を配信、2025年にはシリーズ30周年を迎え、『テイルズ オブ グレイセス エフ リマスター』の発売も発表されるなど、その熱は冷めることがありません。
今回はそんな『アライズ』や『テイルズ オブ』シリーズに携わる方々へのインタビュー記事を中心に、作品の魅力や裏側が知れる記事6本をピックアップ。
『アライズ』のプロデューサーであり『テイルズ オブ』シリーズのIP(※1)総合プロデューサーを務める富澤祐介さんのコメントとともに紹介します。『アライズ』からシリーズを知ったという人はもちろん、昔からのファンの方々も知らなかった裏話やエピソードが収録されている、かもしれません。ぜひご一読ください!
※1 IP:Intellectual Property の略で、キャラクターなどの知的財産のことを指す
目次
・『テイルズ オブ』シリーズに共通する物語の魅力とは?
・『アライズ』敵キャラ制作の裏側とは?
・ゲームの楽しみを外に広げるコラボ展開の裏側とは?
・感覚ピエロによる『アライズ』主題歌「HIBANA」の制作背景とは?
・『アライズ』アシスタントプロデューサーはシリーズ愛が強すぎる?
・ゲームでは描かれないキャラの日常を描き下ろしたイラスト公開中!
富澤 祐介
バンダイナムコエンターテインメント
CE事業部 第2プロダクション
『テイルズ オブ』シリーズに共通する物語の魅力とは?
・一貫して描かれる正義VS正義という構図
・数十時間キャラクターと向き合うからこそよりアツくなれる一騎打ち
①一貫して描かれる正義VS正義という構図
常に描かれる「正義と正義の戦い」は『テイルズ オブ』シリーズの魅力のひとつ。主人公サイドは正義らしい、敵側は悪者らしいデザインや設定になっていたとしても、物語が進むと「それぞれの正義」があることがわかります。必ずしも勧善懲悪ではない、深く考えさせられる対立構図が魅力です。
②数十時間キャラクターと向き合うからこそよりアツくなれる一騎打ち
『テイルズ オブ』シリーズといえば、主人公とライバルキャラクターが一騎打ちをする場面も魅力。主人公と特定のキャラクターとの一騎打ちは、20時間、30時間とプレーを積み重ねてきた先に描かれるからこそ胸が熱くなります。
キャラクタードラマがとりわけ強い『テイルズ オブ』シリーズでは、その魅力をより強く体感できます。
【富澤Pからの一言】
正義というものの相対性や不安定さをテーマとして描く作品が多いですが、それらをキャラクターたちの成長を通じて、変わっていくこと、そしてそれでも変わらないこととして描いているからこそ、どの作品もそれぞれの感動や共感につながっているように思います。
記事では、『テイルズ オブ』シリーズの持ち味だけでなく、『アライズ』の制作意図や、物語が完結したその後を描くダウンロードコンテンツ『Beyond The Dawn』の注目ポイントも紹介しています。
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『アライズ』敵キャラ制作の裏側とは?
・敵が魅力的であれば主人公が引き立つ
・敵だからこそ描ける狂気や哀愁がある
・作品世界にモンスターを配置した時の納得感
①敵が魅力的であれば主人公が引き立つ
主人公の存在は、敵がいて初めて引き立つ側面も。敵キャラはプレーヤーキャラクターと同じくらい重要なのです。
②敵だからこそ描ける狂気や哀愁がある
主人公は正しさに寄りがちな一方で、敵だからこそ狂気に満ちていたり、負けていったりする哀愁が描けたりもします。それによって物語のおもしろさが増していくのではないでしょうか。
③作品世界にモンスターを配置した時の納得感
『アライズ』の世界観に合わせた造形の細かさや配色は、敵のビジュアルにも反映されています。例えば、シリーズ恒例のウルフ系。コンセプトは共通に見えるのに、毛束感ひとつとっても、ほかのシリーズ作品に登場するウルフとは差別化されています。
【富澤Pからの一言】
アライズでは、敵を世界観の一部として俯瞰した際に必要な実在感や脅威感なども強く意識しました。結果的に登場する敵種の選定やビジュアルもこれまでとは異なる点が多いかと思います。
記事では、同時期に開発・販売された『アライズ』と『スカーレットネクサス』の開発陣が集まり、「敵キャラ」座談会を実施。物語上で立ちはだかる敵キャラクターやモンスターの話に加えて、両作の制作陣がお互いの作品に抱いた印象などを、前後編の2本にわたり熱く語り合っています。
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ゲームの楽しみを外に広げるコラボ展開の裏側とは?
・コラボ展開の役割は、再会の場を作ること
・コラボメニューには「味監修」が存在する
①コラボ展開の役割は、再会の場を作ること
家庭用ゲームソフトをプレーし終えた後でも、イベントやグッズ展開があることによって、キャラクターたちと再び会うことができる。そんな「再会の場」をシリーズ全体で増やすためコラボが実施されています。
②コラボメニューには「味監修」が存在する
『テイルズ オブ』シリーズに登場するおもしろメニューをコラボ食品やコラボカフェで再現するために、「味監修」を行っているのだとか。サイダー飯やマーボーカレー風長崎角煮まんじゅうの味監修も実施。どういう味が正解なのか、やっぱり迷うそうです。
【富澤Pからの一言】
コラボはゲームプロデュース側からご相談することもあれば、メーカーさまからご提案いただくこともありますが、やはり世界観とのつながりをおもしろく拡げてくれる企画がベストです。フルルの長崎角煮まんじゅうは料理の設定的にもフルルのビジュアル的にもハマっていて、自分でも発注した品物が届いたときはニッコリしましたね。現在もシリーズ30周年に向けて各種メーカーさまとのコラボレーション企画を鋭意企画中です!
記事では、『テイルズ オブ』シリーズが行ってきた各種コラボの舞台裏について、プロモーション担当者とライセンスアウト担当者が語っています。
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感覚ピエロによる『アライズ』主題歌「HIBANA」の制作背景とは?
・音楽で、「これからゲームがはじまる」高揚感を加速させる
・『アライズ』に込められた想いを楽曲そのもので体現
①音楽で、「これからゲームがはじまる」高揚感を加速させる
「これからゲームがはじまるんだ!」という期待をさらにプッシュできる楽曲を目指したという本楽曲。サウンドには、そうした爽快感と、同時に切なさを込めることに尽力したといいます。アレンジや演奏に注目したいところです。
②『アライズ』に込められた想いを楽曲そのもので体現
「HIBANA」では、『アライズ』に込められた想いを楽曲そのもので体現することも意識されています。歌を録音した際は、自然と登場するキャラクターたちの顔を思い浮かべていたとか。本編と一体になる楽曲を目指して作られた「HIBANA」。今一度、聴き返してみてはいかがでしょうか。
【富澤Pからの一言】
リンク先の記事にもあるとおり、「HIBANA」はゲーム開発上ずいぶん前にOPアニメーション尺の楽曲が仕上がっていたのです。その後、コロナ禍なども経て感覚ピエロさんの方でこの曲をじっくり再解釈する時間があり、結果的に大きく印象が拡大したフル尺Ver.が完成しました。最初は驚きましたが、音楽はそういった生モノ感も含めてクリエイティブを楽しむべきだと気づかされた作品でもありました。ぜひフル尺版も聴いてみてください。
『テイルズ オブ』シリーズは各作品の主題歌も大きな魅力です。この記事では、最新作『アライズ』の主題歌「HIBANA」を手がけた感覚ピエロの皆さんに、『アライズ』のプロデューサーである富澤さんがインタビュー。オファーを受けていただいた当時の心情から、制作過程におけるこだわりなどを伺っています。
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『アライズ』アシスタントプロデューサーはシリーズ愛が強すぎる?
・高校を卒業するころには、過去作から最新作までを全制覇
・どうせだったら過去作のファンが見てニヤっとするような仕掛けを入れたい
・開発メンバーも「テュオさま」呼びをしていた
①高校を卒業するころには、過去作から最新作までを全制覇
中学時代にサッカー部の同級生に『テイルズ オブ ジ アビス』を貸してもらったことがきっかけで、『テイルズ オブ』シリーズにどハマりした『アライズ』アシスタントプロデューサーの石川さん。友達にソフトを返した後も自分で買って何周もプレー。高校を卒業するころには、過去作から最新作まで全作品を制覇していました。
②どうせだったら過去作のファンが見てニヤっとするような仕掛けを入れたい
25周年企画で過去作を紹介する周年記念アートを作った際には、どうせだったら過去作のファンが見てニヤっとするような仕掛けを入れたい、と考えました。例えば『テイルズ オブ ジ アビス』のルークのイラストには、彼と関わりが深いアッシュの要素を忍ばせたそうです。
③開発メンバーも「テュオさま」呼びをしていた
石川さんだけでなく、バンダイナムコスタジオのメンバーも『テイルズ オブ』シリーズが大好き。テュオハリムはファンの間で「テュオさま」と呼ばれることがありますが、開発中はスタジオのメンバーたちも同じように呼んでいたそうです。
【富澤Pからの一言】
リンク先の記事では具体的なタイトルの話はしていない石川君ですが、25周年以降のIP展開のサポートや『アライズ』などのタイトルのアシスタントを経て、ついに『グレイセス エフ リマスター』ではメインの担当プロデューサーとして活躍してくれています。ほかのメンバーも負けずに作品愛に溢れていてプロデュースチームの地盤がしっかりと固まってきているのを強く感じますので、さらなる今後にご期待ください!
この記事では、『アライズ』のアシスタントプロデューサーを務める石川さんにインタビューを実施。入社前から生粋の『テイルズ オブ』シリーズファンだったエピソードや、ファンだからこそ思い付いたシリーズ25周年企画での施策など、社内一の『テイルズ オブ』シリーズ好きとも噂される石川さんのシリーズ愛を掘り下げています。
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ゲームでは描かれないキャラの日常を描き下ろしたイラスト公開中!
・エンディング後のアルフェンとシオン
・幼少期のロウを抱っこするジルファ
・テュオハリムの着替えを手伝うキサラとリンウェル
【富澤Pからの一言】
ゲーム発売後も、作り手の中には精魂込めたキャラクターの人生がしばらく憑いて離れないような感覚になることがあります。そしてプレーいただいた以降は、プレーヤーの皆さまの中にもキャラクターが棲みついてくれることがあるでしょう。そのお互いの心に生まれたキャラクターの未来やifを語り合い、それをイラストとして共有する機会というのは、非常に幸せなことであったと強く記憶しています。『スカーレットネクサス』さんとも、そうしたいろいろな発売後の企画をご一緒出来てうれしかったです。
上記5本とは異なり、こちらの記事では読者からイラストのリクエストを募集し、その内容をもとに制作陣が描き下ろしたイラストを公開しています。ファンならグッとくること間違いなし!
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まとめ
シリーズに共通する魅力や敵の作り方、はたまたコラボ展開や主題歌制作など、今回ピックアップした記事だけでもさまざまな角度から『テイルズ オブ』シリーズや『アライズ』の裏側をのぞくことができます。シリーズ自体、どのタイトルから遊んでも楽しめる作品ですが、今回のインタビュー群(+描き下ろしイラスト)も、どの記事から読んでも違ったおもしろさが発見できるはず。
最新作『アライズ』は体験版が配信されているほか、大型ダウンロードコンテンツ『Beyond The Dawn』とセットになったエディションも配信中です。システムやビジュアルを刷新しつつもシリーズらしさを持つ本作。昔は『テイルズ オブ』シリーズを遊んでいた、という方は本作で久しぶりに『テイルズ オブ』シリーズの物語に触れてみてはいかがでしょうか。
取材・文/村田征二朗
1989年生まれのライター。しゃれこうべ村田、垂直落下式しゃれこうべライターMなどの名でも活動し、コンシューマータイトルやスマートフォンアプリのゲーム関連記事を執筆。原稿料の8割はプロレス観戦のチケット代に消える。
Tales of Arise™ & © Bandai Namco Entertainment Inc.
『テイルズ オブ アライズ』プロデューサーであり、現在の『テイルズ オブ』シリーズのIP総合プロデューサー。バンダイでの経験を経てバンダイナムコゲームス(当時)で『GOD EATER』シリーズの立ち上げなどに関わったあと、『テイルズ オブ ヴェスペリア REMASTER』より『テイルズ オブ』シリーズのプロデュースに携わる。