【プロフェッショナルインタビュー「アソビト」】金野徹さんをつくる“3つの〇〇”

【プロフェッショナルインタビュー「アソビト」】金野徹さんをつくる“3つの〇〇”

各分野のプロフェッショナルが活躍し、支えるバンダイナムコエンターテインメント。そんなプロたちの神髄を“3つの要素”から探ります。第4回はネットワーク事業を担う金野徹氏。突き動かす好奇心…果てのない心の動きに正直に、素直に従う氏の信条やエンターテインメントに向き合ったときの心の動きが、インタビュー中にも溢れ出てきます。

好奇心を止めない!興味が湧いたなら飛び込むべし!

好奇心を止めない!興味が湧いたなら飛び込むべし!

とにかくどんなエンターテインメントにも触れてみる。面白そうと思ったなら足を運ぶ。金野徹氏はとにかくフットワークが軽い。サウナに行く日もあれば、相撲を見に行く日もあり、誘われればスタンドアップコメディに巡り合うことだってあります。好奇心の塊のような金野氏を形作る「興味」の数々…その中から3つをご紹介します。「高校野球」「サウナ」「観劇・エンターテインメント鑑賞」大切なことはどんなことにも存在する「面白さ」を見つけ、楽しむこと!

1:高校野球。「恒久の大河ドラマとしての高校野球」

1:高校野球。「恒久の大河ドラマとしての高校野球」

――今回は「高校野球」をあげてくださいました。ドラフトも終わりいずれも競合から千葉ロッテマリーンズ1位指名となった大船渡高校の佐々木朗希選手、東京ヤクルトスワローズ1位指名となった星稜高校の奥川恭伸選手にも期待が集まりますが、まずはそもそも金野さんにとっての野球とは。

金野:プロ野球も高校野球も大好きなんですけど、僕、(野球の)見方も結構、マニアックなんです。僕は野球のプレイ自体をするわけじゃないのに、いろいろと変化球の投げ方について勉強もしてしまう。アンダースローを投げる機会なんてないのに、本を読んで「アンダースローの投手ってこんな風に投げているんだ」って納得したりもしますし。もう生まれたときから野球が好きなんです。

1995年に株式会社バンダイ入社。バンダイネットワークス株式会社を経て、2009年より株式会社バンダイナムコゲームスへ。2018年4月に株式会社バンダイナムコエンターテインメントの取締役に就任。NE 事業部担当 兼 NE 事業部長を務める
1995年に株式会社バンダイ入社。バンダイネットワークス株式会社を経て、2009年より株式会社バンダイナムコゲームスへ。2018年4月に株式会社バンダイナムコエンターテインメントの取締役に就任。NE 事業部担当 兼 NE 事業部長を務める

――そんな野球がお好きな金野さんが特に高校野球に強く引かれる理由というと?

金野:彼らのドラマですね。大河ドラマも好きなので、高校野球でプレイしていた選手たちがプロになっていく様を見ていくのも大好きなんですよね。(ここでカバーされた高校野球の本が登場)僕、こういう本も物凄く読むので、表紙がぐちゃぐちゃになっちゃうんで、普段はカバーをしているんです。

実際、毎年夏になると甲子園まで見に行きます。ここで出会った子たちが、プロに入ることでチームメイトと別れる。2015年には大阪桐蔭でバッテリーを組んでいた森友哉選手と藤浪晋太郎選手がオールスター戦で戦ったんです。そこでも彼らのドラマをつぶさに見守っています。

金野徹氏

――高校野球を見に行かれた甲子園ではどのように過ごされているんですか?

金野:毎年、息子と一緒に行くんですけど、朝8時からはじまるんですが、7時くらいに行って、その日の全ての試合の終わる夕方6時まで11時間、ずっとビールを飲みながら見ています。毎年楽しいんですが、今年も楽しかったですね。

高校野球って、レギュラーかどうかは関係なく、先輩の背番号が小さいことが多いんですよね。なので、たとえば大きい番号のキャッチャーに、背番号が一ケタの先輩が防具をつけてあげていたりするのを見たりするだけで泣けちゃうんです。ドラマを勝手に想像して。先輩はレギュラーを取られちゃったんだけど、それでも後輩に防具をつけてサポートしてあげている姿に涙が出ちゃう。

それと今年は星稜の試合も見られたんです。奥川恭伸くんはいつもニコニコしているんです。ああいう、気持ちが表に出ているのがいいですよね。やっぱり甲子園は素敵です。若者が頑張っているそこにドラマがあります。

2:サウナ。「オンからオフへ。サウナという不可侵」

2:サウナ。「オンからオフへ。サウナという不可侵」

――「サウナ」ということでお持ちいただいたのは、帽子ですか?

金野:そうです。これはサウナハットといって、フィンランドのものなんです。こういった帽子を被って頭を乾燥から守るんです。特に日本のサウナってすごく乾燥しているから、髪の毛が痛むんです。髪が乾いて頭皮も熱をもってしまう。つまりは頭を守るために必要なものなんです。ただ買ったのはいいんですが、まだ使っていなくて(笑)。ちなみにこれはフィンランドのサウナハットではあるんですが、平塚のサウナで買いました。ところがお風呂に入りに行くのに、毎回持って行くのを忘れてしまうんです(笑)。

金野徹氏

――最近、サウナ好きな人も多く、ちょっとしたムーブメントになってもいますが、いつ頃からお好きなんですか?

金野:もうずっと前からスーパー銭湯やサウナは好きで、よく行っていたですが、今のようなブームになって、市民権を得た事がちょっと嬉しいですね。社内にも結構、サウナ愛好家がいて。僕なんかが「サウナが好きだ」って言うのがおこがましいくらいにガチ勢がいっぱいいるんです。

――ガチ勢はどのようなことをするんですか?

金野:サウナに関する資格を持っていたりするんです。ほかにもサウナ好きのLINEグループがあるんですけど、「ここのサウナが良かったよ」とか、新規開拓したときには「温度はこれくらいで水温はこれくらい」って報告し合ったりもして、サウナ情報をみんなで共有しています。

ガチ勢はね、本当に隙あらばサウナに行くんですよ。地方遠征も普通にしていますし。サウナ好きなら誰もが知っている静岡の名店・しきじへバスツアーもしてました。そこは富士山の湧水を使っていて、入った瞬間に「この水は違う!」ってわかるんですよ。そんな風にサウナ好きで課外活動もしています。まぁ、近所のサウナも楽しいんですけどね。サウナにいるとインプットもアウトプットもなく、何も考えていない瞬間が貴重だなと感じますし、そういった何もない時間というのは大事だなと感じています。

金野徹氏

3:観劇・エンターテインメント鑑賞。「何ごとにも触れて楽しむ」

3:観劇・エンターテインメント鑑賞。「何ごとにも触れて楽しむ」

――今回はいくつか公演のパンフレットをお持ちいただきましたが、観劇がお好きということでよろしいですか?

金野:そうですね。観劇をはじめ、それ以外にも月1くらいで何かしらかは見に行くんです。でも最近はこういうパンフレットとか買っていなかったので、やっぱりパンフレットがあって、そこに公演のチケットも挟んでおくのはいいなぁ、と改めて感じました。取っておいて、それこそ10年後とかに見返したり…今後は取っておきたいなって思いました。この「銀ちゃんが逝く」は、1997年に新宿の新国立劇場が完成したときのこけら落としの公演だったんです。つかこうへいさんの舞台で。今も鮮やかに記憶していますね。

金野徹氏

――ちなみに最近は何をご覧になりましたか?

金野:スタンダップコメディを見に行きました。スタンダップコメディって僕も知らなかったんですけど、スタンドマイクを1本ステージに置いて、風刺ネタや政治ネタ、ちょっと毒のある話を演者の方が20分くらいの持ち時間の中でぶわぁー! としゃべるんです。どちらかというとアメリカなんかで少し尖がったコメディアンの方がやるような感じで。それを日本でやっているのを見て来ました。

何の出し物かを知らないままに行ったんです。出演者に春風亭昇太師匠がいたので見に行っただけなので。でも面白かったです。芝居もそうですが、そういったものを選り好みせずに。落語やミュージカルも見ますし、オーケストラや歌舞伎、大相撲も見に行きます。

――非常にジャンルレスですね。

金野:僕、嫌いなものがあまりないんです。誘われたらほいほいついていく。そして見たものは何かしらか面白い。明らかに家族とか恋人みたいな大事な人とは見に行かないような映画を、敢えてみんなで見に行ったりもするんです。予想に漏れずつまらなかったりもするんですけど。それでもつまらなかったなりにその後の反省会が盛り上がるんです。

いろんなものに楽しめる要素があると思っていて。好き嫌いだの選り好みをせずに面白そうなものには出掛けて触れてみること、何ごとにも触れて楽しむことは今の仕事にも繋がっていると思いますね。

――まさに、バンダイナムコエンターテインメントの精神につながる要素ですね。

金野徹氏

好奇心をもってまずは触れてみる。その先は後で考えればいい

――エンターテインメントの世界へ入って来ようと思っている人たちに向けて、「これが必要だよ」というファクターはありますか?

金野:好奇心ですね。オタク的に深い関わり方をするのももちろんですが、興味を惹かれたら片っ端から手を付けるのも触れ方としてはアリだと思っていますし、僕はどちらかと言えば後者なので、ひとつのことを追求するよりも好きなことをたくさんやりたい。それでいくと選り好みをせず、好き嫌いをせず。面白いと思ったものはとりあえず触ってみることですね。そこから合うものを取捨選択して、合うものについては踏み込む。たとえばオーケストラコンサートには一度は出掛けましたが、2回目は結局行ってないんです。とにかく一度は触ってみる。その先があるかどうかはその後に考えればいい。

金野徹氏

――今後エンターテインメント業界はどのように発展していくと思われますか?

金野:選択肢が増えているのは確かですし、加えて、無料のものもあったり、流通のネットワーク化が進んだりで、お客さんが手に取りやすい環境にもなっているので、ユーザーの立場としてはエンターテインメントはますます楽しくなるなと思います。一方で、すごく細分化されていくと思うので、それをどう見つけるかという課題も出て来る。これだけ多様化されれば、自分にぴったりなエンターテインメントが必ずあるはずなんだけど、それに気づかずに通り過ぎてしまう。提供する側としては、数あるエンターテインメントの中で埋もれてしまうのをどうファンに届けるか。細分化したエンターテインメントを、ぴったり合う人にうまく届けることが出来るといいと思っています。

金野徹氏

【取材後記】
お持ちいただいたメダルは甲子園球場90周年の、2014年の夏の高校野球でもらったものだとか。前日の雨天順延からたまたま持っていたチケットが開会式になった、と嬉しそうにお話してくださいました。なんと甲子園の土の入ったメダルです。歴史を共に感じさせてもらえました。

取材・文/ えびさわなち
リスアニ!、リスウフ♪を中心にアニメ、ゲーム、特撮、2.5次元の雑誌やWEBで執筆中のエンタメライター。息子の学校が休校になってしまい、勉強など、どのようにしようか迷っていたら、東大生の有志による動画配信授業や、ほかにも理科の実験を見せてくれる化学者のみなさんなどの登場で楽しく勉強できました。学びもまたエンターテインメントになっているのですね。