年に一度開催される大人向けフィギュアの祭典TAMASHII NATION。今年はさらに進化し、VR会場での開催となりました。11月6〜8日に開催される本イベントはどのような内容になるのでしょうか? 会場に展示されるパックマンフィギュアの詳細とともに、制作の舞台裏をインタビューします。
今年はオンラインで! さらに進化したTAMASHII NATION 2020
TAMASHII NATION は大人向けフィギュアの祭典。毎年700点以上の製品が集結し、海外からも来場者が集まっています。今年は新型コロナウイルス感染症の拡大防止に配慮してVR会場での開催となりますが、オンラインならではのメリットも盛りだくさん。誰もがいつでもどこからでも自由に参加できて、さまざまなフィギュアを好きなペースでじっくりと鑑賞できる、画期的なイベントに進化しました。
この記事では、本イベントを主催するBANDAI SPIRITSコレクターズ事業部の皆さんにTAMASHII NATION 2020の見どころをインタビューします。さらに、今回の目玉となるパックマンフィギュア3種の開発秘話についても、バンダイナムコエンターテインメントの皆さんと一緒に深堀り! 人気シリーズ『超合金』やアクションフィギュアシリーズ『S.H.Figuarts』で展開されるパックマンの新たな姿に迫ります。
パックマンが超合金に!? 等身大サイズの「超合金パックマン」に搭乗可能! アソビ心満載のVR会場
ーーさっそくですが、TAMASHII NATION 2020の見どころを教えてください。
水谷:ポイントは「リアル」です。一般的なVR展示会ではCGで会場を作りますが、今回はリアルの展示会場にセットを組んでフィギュアを展示し、場内を撮影してVR会場を作っています。
ーーすごく力が入っていますね! これは今回が初めての試みですか?
水谷:同様の手法は、7月に行われたフィギュアイベント『TAMASHII Features 2020』でも行っていて、今回はそのノウハウを活かし、より進化したVR展示を披露します。
ちなみに、今年度のテーマは「ミュージアム」です。美術館のデジタル展示のように、列に並ばずじっくりとフィギュアを鑑賞できる環境を目指しました。会場は2つあり、それぞれ『超合金』などのロボットフィギュアと『S.H.Figuarts』などの人型フィギュアを特集しています。
ーー展示のなかで特にこだわっているポイントはありますか?
水谷:イチオシはマルチビューです。会場には約1000体のフィギュアを展示していますが、そのうち今回初展示するものを中心にフィギュアを回転させてみることができる「マルチビュー」を導入しています。ファンの皆さまが気になるディティールや背面部分も見られるので、きっと満足していただけると思います。
ーーそれは楽しみです。今回はVR会場ということで、遠方の方も来場しやすそうですね。
水谷:地方の方にはぜひご来場いただきたいですね。英語対応もしているので、海外の方にも楽しんでもらえたらと思っています。デジタル会場なので、天候を気にせず来場してもらえますし、今までとは違ったTAMASHII NATION 2020を楽しんでもらえるはずです。
ーーちなみに『超合金』シリーズを特集した「ROBOT EXHIBITIONS」では、超合金のパックマンに乗れるそうですね。
水谷:そうなんです。「パックマンがもしロボットになったら?」をイメージして作った超合金パックマン立像を用意していて、VRで搭乗することができます。
そのほかにも至るところでパックマンが登場するので、探してみてくださいね。たとえば、会場のウェブサイトには時折、超合金パックマンが現れるんです。そのアイコンをクリックすると…?! そのほかにも毎日遊べるいろんなスペシャルコンテンツを盛り込んでいるので、さまざまなお客さまに楽しんでもらえたらうれしいです。
異例のパックマンフィギュアはアクションフィギュア・超合金・可動音声ギミックものの3種
西澤:パックマンのフィギュア化は以前から社内で議論されていました。そんななか、今期からうちのチームにバンダイナムコエンターテインメントから出向してきてくれたメンバーがいまして。そのメンバーが持っていた資料の中に世界の人気キャラクターランキングがあったのですが、パックマンは常に上位をキープしていて、知名度も抜群に高い。
そして同時期に、バンダイナムコエンターテインメント代表取締役の宮河社長からも「パックマン40周年です!」というグループ全体への呼びかけもあったり、グループのポスターにガンダムとパックマンが一緒に写っているものがあったりと……。
海外人気と、グループとしての取り組み、両面からチャンスがありそう、ということで本気で商品化の企画に着手しました。
ーー制作はどのように進められたのでしょうか?
相澤:プロジェクトはバンダイナムコエンターテインメントとBANDAI SPIRITSが手を組んで進めていて、最初から今回制作した3案をプレゼンしています。一般的にはイメージ図を用意して、プレゼンですり合わせて、と進めていきますが、今回は初期段階でモック(試作品)を作っちゃいまして(笑)。
そうしてできたのが、この“パクパクパックマン”です。フォルムは初代に準じたもので、本体下にローラーが仕込まれているんですね。手に取って床を走らせると口を開け閉めしながら動き、ゲーム内の音が出るんです。さらに、速く走らせるとパワークッキーを食べた無敵状態の音が鳴ります。原作を再現したこだわりのポイントです。
纐纈(こうけつ):会議室に行ったらすでにモックのフィギュアが用意されていて驚きました(笑)。
胡(ふ):動きも音もある状態で、目の前で動かしてもらって。
宇出津:とにかく驚きましたが、どれも企画の完成度が高く、キャラクターのイメージと合っていました。僕らも手に取って遊んでみたいと直感したので「ぜひこれでいきましょう!」とお願いしたんです。
ーーたしかにこれは手に取りたくなりますね。超合金パックマンやアクションフィギュアの特徴も教えてもらえますか?
相澤:まず超合金パックマンですが、ボディは金属製でずっしりと重みがあります。また、超合金らしい「遊ぶ楽しさ」を出すために、ミニパックマンが搭乗できるようにして、ロケットパンチを発射できるギミックを仕込みました。付属品はゴーストをロボット風にアレンジしたミニフィギュアで、同じく腕に取り付けて発射できます。そのほかにも、目の表情が切り替わるギミックや、足を変形させる機構を盛り込む予定です。
ーー超合金らしい製品で、発売が楽しみですね。『S.H.Figuarts』のアクションモデルについても聞かせてください。
相澤:アクションフィギュアはフォルムの再現と可動域の広さにこだわりました。パックマンはシンプルな球体フォルムなので、ごまかしが効きません。可動域を増やすためにヒジやヒザの関節はもちろん、足と体をつなぐ部分にスライド機構を入れ、足首にもジョイントを設けました。ユーザーの皆さんにも「こんなに動くのか!」と驚いてもらえると思います。
付属品はウインク顔の表情パーツと、手首パーツが3種、そのほかにドット絵のゴーストやチェリーも同梱します。さまざまなポージングができるので、対戦ゲームのシーンや撮影したくなるようなポーズが作れると思います。
亀井:アクションフィギュアは、北米での価格も意識してお買い求めになりやすい価格で展開していく予定です。製造や流通面で調整を進め、大人向けアクションフィギュアにもかかわらず、「2,200円(税抜)」という価格を実現しました。パックマンは世界的に人気があるキャラクターなので、全世界のお客様に手に取って楽しんでいただきたいですね。
ーー今回のパックマンフィギュアのように、バンダイナムコエンターテインメントとBANDAI SPIRITSがコラボレーションする機会は、今後増えていくのでしょうか?
宇出津:もちろんです。これからさらにいろいろと手を組んでいけたらと思っています。パックマンを使った製品は、バンダイのアパレル事業部では既にたくさん商品化してもらっていますが、ホビー事業部から11月に発売されるプラモデルや、今回のようなフィギュアやイベントの企画も積極的に進めていきたいです。さらにギャラガやマッピーなどこれから続々と40周年を迎える他の自社キャラクターの新展開についても、バンダイスピリッツや当グループのみなさんの力をお借りして検討していければと思っています。
相澤:いろんな「はじめて」があるといいですよね。近年のパックマンはさまざまな媒体に登場しているので、ファンになった人が初めて買うフィギュアになるかもしれない。今後も新しい製品やイベントを世の中に送り出し、ユーザーの皆さんに楽しんでもらえるように動いていきたいです。
TAMASHII NATION 2020は入場無料・24時間オープン!
本イベントは完全オンラインで開催され、誰でも参加可能です。日程は2020年11月6日(金)10:00〜11月8日(日)23:59で、入場料無料。参加の際はパソコンもしくはスマートフォンをご用意ください(アプリのダウンロードは必要ございません)。
もちろん、VR会場に展示されるフィギュアの一部はオンラインで購入可能。『仮面ライダー』や『ウルトラマン』、『ドラゴンボール』に『ガンダム』など、おなじみのラインナップが揃っており、先述したパックマンフィギュアも展示されます。ぜひお気に入りの1体を見つけてくださいね!
さらに、本イベントに合わせて開催記念商品も多数販売! いずれもレアなアイテムばかりですので、ぜひ会場でその出来栄えをご覧ください。
【TAMASHII NATION 2020】
開催日時:202011月6日(金)10:00〜8日(日)23:59
開催会場:魂ウェブ内イベント会場ページ
https://tamashii.jp/special/tamashii_nation/
入場無料
詳しくはこちら!
取材・文/鈴木 雅矩
1986年生まれのライター。ファミコン時代からゲームを遊び、今も毎日欠かさずコントローラーを握っている。