【BNEナビ「世界のオフィスから」】バルセロナ・バンダイナムコモバイルでの国際色豊かな日常

国内だけでなく、海外にも広く展開するバンダイナムコグループ。その海外事業に携わる人たちが、日本とは違う環境の中でどういった生活を送り、どのような業務を手掛けているのか。世界中のさまざまな地で「アソビ」を発信する人たちの姿や思いを探ります。第3回目は、スペイン・バルセロナにて2020年9月に新オフィスが稼働したBANDAI NAMCO Mobile(以下、バンダイナムコモバイル)の直江俊彦さん、渡邊春樹さんにお話を伺います。

You can read this article in English (published April 20, 2021)

バルセロナのビーチ沿いに構える絶景のオフィスには、10カ国以上の国籍のスタッフが在籍

スペイン・バルセロナに拠点を構えるバンダイナムコモバイルで、成長著しいモバイルゲームのマーケティングや開発・パブリッシングを推進する直江俊彦さんと渡邊春樹さん。日本との違いはどのようなところにあるのでしょうか? さまざまな観点からワークライフについて語っていただきました。

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直江俊彦

赴任先:スペイン・バルセロナ 所属:BANDAI NAMCO Mobile S.L.
赴任時期:2020年8月~

2007年中途入社。入社後はアジア地域でのフィーチャーフォン・スマートフォン向けアプリ配信・営業業務を担当。その後、国内プラットフォーム渉外担当を経て、2014年に米国のBANDAI NAMCO Entertainment America (当時はNAMCO BANDAI Games America) へ出向。

5年目には現地のモバイル事業統括としてチームをリード。2020年8月からはバルセロナに移り、欧米両地域のLicensing & Business Strategyチームのモバイル部門を率いており、グローバルに会社価値を最大化するため多岐に渡る業務に携わる。

【直江さんの基本的な1日の流れ】

[9:00] 出社。メールチェックや日本とのテレビ会議。午前中は日本とのやりとりが中心
[13:30] スペインはランチタイムの開始が遅いので、この時間から近くのお店でテイクアウトしてオフィスのカフェスペースで食べる
[14:30] 現地メンバーとの打ち合わせやデスクワーク
[17:00] アメリカチーム(西海岸)とのテレビ会議。欧米間の連携やタスクについて確認。デスクワーク
[19:00] 帰宅

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渡邊春樹

赴任先:スペイン・バルセロナ 所属:BANDAI NAMCO Mobile S.L.
赴任時期:2020年2月~

2015年新卒入社。入社後はスマートフォンアプリの国内向けプロモーション業務を担当。

その後欧米向けマーケティング担当を経て、2018年にイギリスのBANDAI NAMCO Entertainment UKに出向。2020年からバルセロナに移り、Licensing & Business Strategyチームにて欧州および日本両拠点にて運営されるアプリタイトルのグローバル市場拡大のためのさまざまな業務に携わる。

【渡邊さんの基本的な1日の流れ】

[9:30] 出社、メールチェック
[10:00] 日本とのテレビ会議。時差の関係上午前中は日本とのやりとりが中心
[13:30] 同僚とオフィス近辺のレストランもしくはテイクアウトでランチ
[14:30] 現地マーケティングチームとの打ち合わせやデスクワーク
[17:00] 社内希望者向けに開催されているスペイン語レッスンを受講
[18:00] マーケティングチームからあがる各種資料や制作物、広告配信設定などのチェック
[19:30] 帰宅

――現在ご担当されているお仕事の内容を教えてください。

直江:私と渡邊はLicensing & Business Strategyというチームで、周りのチームのステージに応じて自分たちでやるべきことを探してそれを実行する という仕事をしています。とても自由度が高い一方で、問題発見力・問題解決力が重要で難易度も高い業務だと思っています。 現時点ではバンダイナムコエンターテインメントの海外戦略、その中でのバンダイナムコモバイルの戦略や体制検討などがそれにあたります。また、日本、アメリカ、スペインという3拠点間でのコミュニケーションのサポートも行っています。

渡邊:私はその中で、直江よりも現場寄りの業務を担当しており、バンダイナムコエンターテインメントで日本から欧米に配信されているタイトルのマーケティングサポートのほか、現地で開発・運営しているタイトルの企画や素材の監修管理対応を含めた各国グループ会社との連携業務などを行っています。

――オフィスはどのような場所にあるのですか?

直江:バンダイナムコモバイルのオフィスは、バルセロナの中でも象徴的な高層ビルに入居しています。いろんな会社やドイツ領事館も入っている場所なのですが、とても見晴らしがよく、会議室からはサグラダ・ファミリアも望めます。

渡邊:ビル自体はビーチ沿いに建っています。バルセロナはコンパクトな街なので、中心街から電車ですぐにアクセスできる距離にありながら、周辺にはビーチも山もあるという環境です。

初めてここに来たときは、話に聞いていたよりも開放感のある場所で、「本当にここで働くの?」と驚きました(笑)。夏場は観光客も多いエリアで、素敵なホテルやビーチサイドにテラス席がせり出すようなレストランも多く、ランチに出かけるだけで景色の良さや海の香りでリフレッシュできます。スタッフにも好評で、オンオフのメリハリを付けられることから業務の生産性が上がっているのを感じます。

オフィス周辺の景観
オフィス周辺の景観

――オフィス内の様子を教えてください。

直江:バンダイナムコモバイルには、いかにスタッフの満足度を高められるかということをミッションとしたOffice Happiness Managerという役職があり、彼らが中心となってオフィスに関してもスタッフが快適に仕事できる環境を提供するためにカフェスペースを設け、無料のコーヒーやスナックを提供しています。各会議室には「ガンダムの部屋」「鉄拳の部屋」「たまごっちの部屋」などのテーマに沿った内装がデザインされていて、バンダイナムコグループらしいキャラクターの賑やかさもあります。

『鉄拳』がテーマの会議室
『鉄拳』がテーマの会議室
『たまごっち』がテーマの会議室
『たまごっち』がテーマの会議室

渡邊: また各スタッフが生産性と創造性を最大限に発揮することで会社としてのミッションを達成出来るよう環境作りに力を入れています。例えば、大きな会議室もあれば個人がテレビ会議を出来るような小さな個室、個人の荷物を収納出来るロッカーや靴を脱いでリラックス出来る畳の部屋、そしてマッサージルームなどもあったり。社内での各種ルールも可能な限り簡素化していて、1分でも多く社員が業務に集中できるようにしています。実際コロナ禍前から出社は義務付けておらず在宅勤務がOKでしたが、こうした自然とオフィスに来たくなるような環境作りにより、スタッフ間の交流や互いをよりよく知るためのきっかけとしてもうまく機能していると思います。

――バンダイナムコモバイルにはさまざまな国籍のスタッフがいらっしゃるようですが、使用されている言語はスペイン語でしょうか? また、オフィスの雰囲気はいかがですか?

直江:ベースは英語でコミュニケーションをしているのですが、10ヵ国以上の国籍のスタッフがいるので、非常に多様性があります。実際にはいろんな言語が飛び交っていますね(笑)。また、現地の言語であるスペイン語を学びたいというスタッフの要望に応えて、希望者向けのスペイン語レッスンも行っています。 逆に現地スタッフからは日本語を学びたいという要望もあり、同じように希望者向けに日本語のレッスンも行っています。

そうした多様性があるがゆえに、それを許容するためのフレキシブルな働き方を採用しています。国籍や文化が違う人たちが共存している環境では、それぞれが責任をもって働くのはもちろん、いかにオープンに話し合えるかが重要です。そのため、ほかのメンバーに対しても積極的に建設的なフィードバック行うことを推奨し、上司や部下といった上下関係がないフラットな組織体系をとっていますので、非常に風通しが良い雰囲気がバンダイナムコモバイルのオフィスには流れていると思います。

渡邊からもあったように、しっかりと役割を果たし「結果を出す」ことが求められていますので、業務を遂行する上でいかに効率的且つ高いパフォーマンスを出すという点を突き詰め、スタッフ一人一人への自由度を与えています。スタッフ全員を「大人」として扱い、個々及びチームとしての責任を求めるという、「自由と責任」をセットにした組織論になっています。また一般的な上司・部下間の評価ということではなく、チームまたはスタッフ同士でフィードバックを常に行うようになっており、個人のパフォーマンスレベルであったり、周囲にマイナスの影響を与える場合には相応の評価が与えられることになります。ここはまさに「責任」を個々が強く意識するための思想となっています。

マーケティングチームのエリア 
マーケティングチームのエリア 
出勤メンバー、在宅勤務メンバーでのミーティング風景
出勤メンバー、在宅勤務メンバーでのミーティング風景

さまざまな人たちとつながれる。国際都市バルセロナで目指す “世界のバンダイナムコグループ”

――ランチや飲み会など、仕事の息抜きはどのようなところで行っていますか? お気に入りの場所やおすすめのお店を教えてください。

渡邊:オフィスの近くにあるスペイン料理のレストランがみんなのお気に入りです。前菜、メイン、デザートみたいなセットメニューがあって、お昼から大きな鍋でパエリアが食べられるんですよ。

オフィス近くのレストランのパエリア
オフィス近くのレストランのパエリア

直江:私はオフィス通勤自体が息抜きです。電車だと家からオフィスまで50分ほどかかるのですが、バルセロナは自転車レーンが整備されているので、電動スクーターで風を感じつつ街並みを眺めながら30分ほどの通勤を楽しんでいますよ。以前はアメリカのカリフォルニアで働いていたのですが、バルセロナの街並みにはそれとはまた違うヨーロッパらしい歴史の重みを感じるので、新鮮なインプットになっています。

電動スクーターで通勤する直江さん
電動スクーターで通勤する直江さん

――バルセロナの印象はいかがですか?

渡邊:基本ランチは13時から、ディナーも20時以降と、全体的に生活サイクルが遅いことに驚きました。そういった生活スタイルからか、おおらかでリラックスした雰囲気があり、人柄もオープンな人が多い印象です。私の場合はイギリスのロンドンからバルセロナに移ったのですが、同じヨーロッパ地域でも全然違うんですよね。またバルセロナは国際性豊かな都市なので、観光客だけでなく仕事や勉強のためにさまざまな国籍の人が暮らしています。そのため私生活の中でもいろいろな文化的背景を持つ人たちと繋がることが出来て日々刺激的です。ロンドンも国際都市でしたが、スペインはフランスなど近隣諸国とも地続きということもあり、より文化的にもインターナショナルな広がりを感じます。

直江:カリフォルニアにもいろんな人種がいてアジア人が多かったのですが、バルセロナはアジア人が少ないですね。日本食が全然手に入らないのには困っています(笑)。それと驚いたのは、いろんなところがデジタル化しているということです。クレジット決済はもちろん、荷物の郵送もネットで頼めるし、外食配達業も盛んで、スマホがあればなんでもできる印象です。ヨーロッパらしい歴史を感じる街並みの中に、カリフォルニアよりも進んでいるのではないかというデジタル化のギャップがおもしろく感じます。

フード以外にもさまざまなものをスマホから配達依頼ができるアプリ
フード以外にもさまざまなものをスマホから配達依頼ができるアプリ

――新型コロナウイルス感染症の影響はいかがですか?

直江:バンダイナムコモバイル自体が元々毎日のオフィスへの出勤を必須としていないので、働き方への影響はあまりないと思います。ただ、個人的には出張でのアメリカや日本との行き来ができなくなったのが大きいですね。コミュニケーションはオンラインでできますが、やっぱりチーム感みたいなものを得づらいと感じます。それによって、オンラインでもいいコミュニケーションと、実際に顔を合わせるべきタイミングの違いが明確になりました。特に我々Licensing & Business Strategyはコミュニケーションが重要な部署ですので、そうした効率化できない人間的でエモーショナルな部分が重要だと感じています。これはゲームの開発やマーケティングにも言えることだと思っていて、システムや機能、販促の内容にも、「そこに想いがあるのか」というのが、特にエンターテインメントにおいて重要だと思っています。

渡邊:現状はオフィスに来ている人と在宅の人が半々くらいですね。なので、まだ実際に会ったことがない人もいますが、個人的には顔を合わせて仕事する方がやりやすいと感じています。10通メールするより10分話した方が人柄も含めていろいろとわかりますからね。本来であればチームビルディングという形でメンバー間のリレーションシップ強化を目的に社外でも様々なアクティビティを行い たかったところですが、今はこうしてランチなど身近なところで積極的にコミュニケーションを図りながら、業務上のやりとりだけでは見えてきづらいパーソナルな部分も知るようにしています。

オフィスのダイニングルームでのランチ風景
オフィスのダイニングルームでのランチ風景

――バンダイナムコモバイルでは社員に配布するための「Welcome Pack」を制作中とのことですが、どのようなものなのでしょうか?

渡邊:「Welcome Pack」は欧米の会社では一般的な文化で、新たに入社したスタッフを温かく迎えて会社に愛着をもってもらうためのノベルティグッズのセットです。中身は会社のロゴが入ったノート、タオル、水筒、マグカップなど、オフィスで使えるものが中心です。バンダイナムコモバイルでは、基本的に会社のロゴやカラーを採用しながら、一部にはパックマンやたまごっちなどのキャラクターデザインを入れる予定です。

まだ制作中なのですが、個人的なお気に入りはマスクです。これまで欧米ではマスクをつける文化がなかったのですが、最近では当たり前になり少しずつみんなマスクに個性やオリジナリティを求め始めていることもわかったので「オリジナルのマスクを作ろう」とOffice Happiness Managerが提案してくれたアイテムです。

直江:また、コロナ禍のスペインで厳しい外出制限や地域をまたぐ移動の規制などを長期に及んで強いられているなか、生活のストレスを和らげ少しでも日常を豊かにするための補助の一環として、スタッフ全員に「Hamper Box」というギフトセットが提供されています。カタルーニャ地方で生産・製造されたオーガニック食品を、障がい者支援・雇用を行う地元団体を通じて梱包・発送しているもので、スタッフにも非常に好評です。

Hamper Box
Hamper Box

――最後に、現在のお仕事のやりがいや、今後の展望についてお聞かせください。

直江:海外、特に欧米でのバンダイナムコグループの成長に携わっているという責任を感じますし、優秀な人材との現地での製品開発にもワクワクしています。世界的にバンダイナムコグループの存在感を大きくすると同時に、バンダイナムコグループが日本の企業だということがわからなくなるくらい地域の生活に根付いた存在にできたらと思っています。

渡邊:バンダイナムコモバイルは、バンダイナムコグループの中でも初めてのモバイルゲーム事業を専門に扱っている会社です。バルセロナを拠点としながら、専門分野のエキスパートたちが集まるこの環境には、個人的にも日々刺激を受けています。日本や欧米各地で働くメンバー間の連携を一層強化しながら、バンダイナムコグループがさらにワールドワイドに市場拡大していくための基盤づくりに今後も貢献していけたらと思っています。

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新会社「BANDAI NAMCO Mobile」がバルセロナでつくるモバイルゲームの未来

取材・文/坂上 春希
1984年生まれのコンテンツプロデューサー。ライター/カメラマンとしても、ガジェット、ビジネス、インテリア、カルチャー、テクノロジー等の分野に渡りメディアや広告の分野で活動中。