累計1,200万DLを突破し、手軽にドリフトの爽快感を味わえるゲーム性が魅力のスマホ向けレースゲーム『ドリフトスピリッツ』が2021年11月に8周年を迎えました! 本記事では、『ドリスピ』アンバサダーでプロレーサーの塚本奈々美さんと制作陣それぞれに本作が支持され続けている理由を語っていただきました。
2013年11月にバンダイナムコエンターテインメント初のスマホ向けレースゲームとして産声をあげた『ドリフトスピリッツ(以下、ドリスピ)』は、ファンの皆さまの応援をうけて8周年を迎えることができました。この8年間に登場した車は累計650種以上。2021年にはプロレーサーとして活躍を続ける塚本奈々美さんがアンバサダーに就任しました。
今回、8周年を記念して、塚本さんをゲストに迎え、『ドリスピ』のプロデューサー中西さんと宣伝担当の織茂さんの対談を開催。塚本さんがアンバサダーに就任した経緯や、開発及び運営時のエピソードなど『ドリスピ』の舞台裏について語ってもらいました!
塚本 奈々美
レーシングドライバー
中西 俊之
バンダイナムコスタジオ所属
『ドリフトスピリッツ』プロデューサー。入社後は、『風のクロノア』シリーズなどコンシューマーゲーム開発に関わる。自身もモータースポーツを楽しむクルマ好き。
織茂 稔侑
バンダイナムコエンターテインメント所属
『ドリフトスピリッツ』宣伝担当。入社後は、『荒野のコトブキ飛行隊 大空のテイクオフガールズ!』のアシスタントプロデューサーなどを務め、スマートフォンアプリゲームの制作に携わる。
「ドリフト」に振り切ったのは、隙間時間で遊べるゲームを作りたかったから
――中西さんには7周年の際にもインタビューさせていただきましたが、8周年を迎えて、改めてどのような心持ちなのか聞かせてください。
中西:会社としてもスマホ向けレースゲームは初で、サービス開始当初は、できる限り長く携わり続けたいと思っていたのですが、毎日一歩一歩運営を続けていたら、「もう8年なのか!」と驚いています。
――2021年12月には8周年を記念した配信も行われ、今回集まっていただいた御三方が出演されました。配信ではどのような反響があったのでしょうか?
織茂:とても嬉しいことに、ファンの皆さまからたくさんのあたたかい応援コメントをいただきました。配信では「みんなのデータランキング」として「ドライバーズレベルTOP5」や「もっとも愛されている車TOP5」など、集計データも発表しました。ファンの皆さまからも好評で「この車種が来たか!」と楽しんでいただけたようです。配信のアーカイブも残っていますのでぜひご覧ください!
――配信では塚本さんとユーザーの皆さまのフリーバトルも行われましたね。デットヒートが繰り広げられ、視聴者さんサイドが勝ち越しで終わりました。
塚本:普段はBMW/Z4 sDrive35is E89をよく使っているんですが、配信では安定性を重視してHonda/S2000 AP1を使いました! あの車はスタートダッシュが難しいんです。ユーザーの皆さまはみんな本気で、手加減なしのガチバトルでしたね。私もムキになりすぎて、どんどん対戦しちゃいました(笑)。
塚本:こういう機会なので以前から聞いてみたかったことがあるんです。『ドリスピ』はなぜドリフト要素にフォーカスしたのでしょうか? アンバサダーとしてゲーム内容を説明する機会も多いんですが、説明するといつも「ドリフトですか!?」と驚かれます。
織茂:言われてみればコースを周回して遊ぶ一般的なレースゲームとは切り口が違いますもんね。開発当初、プロトタイプをチームに見せたときはどんな反応だったんですか?
中西:「操作しないのにコースアウトしないってどういうこと?」と、レース好きの方ほど違和感を感じていたようです。それでもドリフト要素に振り切ったのは、隙間時間でパッと遊んで30秒で楽しめるゲームを作りたかったから。従来のようにコースを周回するようなゲームでは、繊細な操作が求められますし、時間もかかります。そうすると電車のなかでは遊んでもらえないかもしれないと思ったんですよね。
塚本:たしかに隙間時間で遊べるから私もついつい遊んじゃいます。特にオートモードが便利で、セッティングを決めて放っておいたらレースの結果が出ているので、朝コンビニの列に並ぶ時などに活用しています(笑)。
中西:そこからさらにドリフトの爽快感やカッコ良さに特化したらどうだろうと考えて。『ドリフト』のコーナリングだけを取り上げれば30秒で遊べますし、車が大きく映せるから小さな画面のスマホでも迫力ある映像になる。開発当初から今と同じようなプレイ画面が描けていました。
塚本:『ドリスピ』はかっこいい走りが手軽にできますよね。実際のレースはスタイリッシュに走れるまで時間がかかります。従来のレースゲームも同じで、腕が磨かれて気持ちよく遊べるまでが大変です。なので、『ドリスピ』は寝転がりながらでも熱中して遊べるのが大きな特徴だと思います。
織茂:8周年を迎えてユーザーさまが増え、ライトに遊ぶ方もいれば、ランキング上位を狙う方もいる「層が厚いゲーム」になりました。塚本さんはガチ勢で、何度もランキングの上位を獲得されていますよね。
塚本:時には徹夜をしたり、大人の財力も活用したりしてやり込んでいます(笑)。特にランク戦やボスバトルの最終日は忙しいですね。仕事が忙しいと100位以内は難しいので悔しい思いをしています。
『ドリスピ』ならライバルチームの車にも乗れる
――塚本さんは『ドリスピ』のどのような点に魅力を感じているのでしょうか?
塚本:いろいろ魅力はありますが、特に好きなのは豊富な車やパーツの収集要素です! レーシングドライバーという職業柄、サーキットで走っているライバルチームの車を見ていると「乗ってみたい!」と思うことが多いんですね。でも、チームの方針で乗れない車も当然あります。その点『ドリスピ』は憧れの1台を手に入れてチューンできる。『ドリスピ』内で手に入れた車をチームの仲間に自慢したり、自分のキャパのなかで「どれを育てよう?」と悩んだりしながら育成を楽しんでいます。
――もしかして、プロレーサーの方々も『ドリスピ』を遊んでいるのでしょうか?
塚本:そうですね、レーサーやメカニックなど、レース業界のプレイヤーは多いです。 D1GPドライバーの日比野哲也さんもドリスピプレイヤーで、レーサーの性なのかコースの攻略に燃えています。ドリスピではメカニックたちとチームを組んでチーム戦にも精を出してます(笑)
中西:それはうれしいです! 『ドリスピ』は「レースドライバーごっこ」ができるゲームとしてユーザーの皆さまにお楽しみいただきたいと思っていますので、本職の方が遊んでくれると開発冥利につきます。実を言うと僕は、実車でドリフトを始めた時に、日比野さんの動画を見ながら練習してたんです(笑)
塚本:レース業界の人たちからは本当に好評ですよ! 私がお世話になっているメカニックも『ドリスピ』の熟練プレイヤーです。この前もドリスピで新しく登場した車を見せたら「ここ俺が板金修理したところだよ」と言われて(笑)。日比野さんも「俺がやらないとチームのみんなの足を引っ張っちゃうから」と熱心に遊んでいます。
織茂:塚本さんのお話は制作サイドとしてすごく誇らしいです。8年間運営を続けてきた手応えは感じていて、とても熱心なファンの方々が支持してくれています。以前ゲームショウやレースイベント用の『ドリスピ』Tシャツを作ってイベントに参加したら、来場者の方にTシャツを見た瞬間「『ドリスピ』の方だ!」と声をかけてくれました。
――車好きの方々に認知度が広がっているんですね!
織茂:ゲーム内に実装する車の素材としてレーシングチームやカスタム車のオーナーさんによく取材をするのですが着実に認知度は上がっていると感じます。ステッカーの貼り方やパーツの配置などを参考にさせてもらっていますが、『ドリスピ』の名前を出すと「僕の車が『ドリスピ』に出るんですか!?」「ぜひ撮ってください!」と対応してくれる方も多く非常にありがたいです。
中西:お互いが車好きなので、話が弾むんですよね。認知度の向上は本当にうれしいですし、地道に運営を続けてきて良かったと感じています。
織茂:『ドリスピ』は実車をゲーム内に実装しているので、関わるメーカーさんが多いタイトルです。ただ、8年間で協力体制ができているので、信頼関係が築けており、すごく交渉しやすい環境ですね。
今は細かな仕様の変更も加えて650種類以上の車を実装していますが、今後も車両数は増やしていく予定です。認知が広まっているので、初めて協力をお願いするメーカーさんにも交渉しやすいですし、「『ドリスピ』は車がクラッシュしないんです」と言えるので、円滑に話し合いが進められますね(笑)。
ファンとして言いたい! 塚本さんが『ドリスピ』に期待していること
――2021年の就任後、すっかり制作陣やユーザーの皆さまからアンバサダーとして受け入れられている塚本さんですが、どのような経緯でアンバサダーを務めるようになったのでしょうか?
塚本:『ドリスピ』に初めて関わらせてもらったのは5周年のお祝いコメントでした。当時から『ドリスピ』プレイヤーでしたが、現役ドライバーということでお声かけいただきました。アンバサダーに就任させてもらったのは7周年からで、生配信番組の出演などで楽しく関わらせてもらっています。
織茂:塚本さんが就任してからはユーザー目線でご意見をいただけるので、開発メンバーの視野も広がりました。また、塚本さんには2019年2月のコラボ企画で「三刀流のナナミ」としてゲームにも登場していただきましたね。プロレーサーが本編に登場したことで驚いたユーザーさんも多いかと思います。
塚本:あのキャラクターは中西さんに「自分の車も登場させてもらえませんか?」と話したら、なんとキャラとして出してもらえることになったんです。アンバサダーを務めさせてもらう前から『ドリスピ』ユーザーだったので、登場させてもらえてとてもうれしかったです。
中西:キャラクター設定やシナリオにもご協力いただきましたよね。これは裏話ですが、最初は少しマイルドなシナリオを用意して確認してもらったんですけど、塚本さんから「もっと上から目線にしてください」とリクエストがあって(笑)。
塚本:当初のセリフは大人しい印象でしたが、私は性悪なので「もっと悪女に描いてください」とお願いしましたよね(笑)。
中西:「もう少しマイルドにしてください」といった指摘は多いですが、逆のパターンは初めて言われました(笑)。ほかにも、塚本さんには仕様や車の性能などたくさんご意見をいただいています。遠慮なくご意見を頂いているので、すごく参考になりますね。
塚本:ごめんなさい(笑)。でも、ひとりのユーザーとして『ドリスピ』をもっと盛り上げていきたくて。アンバサダーとしてTwitterでユーザーの皆さまから意見をいただくことも多いので、それを制作陣の方々に伝えて、ユーザーの皆さまがもっと楽しめるように役立ててもらえたらと考えています。
中西:その心意気を感じているので、すごく頼りにさせてもらっています。現に10周年に向けて、パーツ強化や車の管理など、ユーザーの皆さまの要望を反映して直したいところがたくさんあるんです。
今後は全国のコースをめぐる「全国制覇イベント(精鋭マシン3台の遠征部隊で全国制覇を狙う1人用イベント)」など新しい要素も実装する予定です。
塚本:この場でも言ってしまいますが、拡張ストーリーが欲しいです! 物語は最後までクリアしたので、ボスバトル以外のやり込み要素があるとうれしいなと思っていて。現状だとガソリン(ゲームを進めるなかで消費するリソース)が消費しきれないので、もったいないなと感じています。
あとはCP(ゲーム内のバトルで一定量入手できるポイント。これを使ってパーツや車を入手できる)も一気に消費したいです。CPが溜まった時は合成先(同種の車を合成してグレードアップするシステム)を探しながら消費していますが、パーツと車種を一覧で表示して合成先を決められたら便利なのにと思っています。
織茂:CPについては制作陣たちもどうにかしたいなと課題感を感じていて。初期はCPをガバガバ使うシステムではなかったんです。でもファンサービスで獲得CPを増やし続けていたら「一気に消費したい」と要望をいただいてシステムを改修しました。同様に車合成にも手を入れたいと考えています。
10周年、20周年を目指して『ドリスピ』は進化を続ける
――8周年にともない、新機能の「どこでもガレージ」が実装されましたね。
中西:どんなにお金持ちでも実車が並べられる台数には限りがあります。その点で「憧れの一台」と一緒に写真が撮れる「どこでもガレージ」機能は好評ですね。
織茂:これまでの『ドリスピ』はどうしても戦闘力ばかりが注目されていました。その関係で使われていない車種もあったので、コレクション要素として良い反響をいただいています。SNSを見ると「どこでもガレージ」で撮った写真が投稿されていて、まるで実写のような写真を見かけます。
――8周年を迎えても『ドリスピ』は着々と進化を遂げているんですね。最後にユーザーの皆さまへ向けてメッセージをお願いします!
中西:これからもユーザーの皆さまには楽しく遊んでもらいたいですし、復帰してくださる方も増えています。『ドリスピ』はシンプルなゲーム性なので、いい意味でゆるゆると遊んでもらえるゲームです。これからも運営を続けていきますので、欲しい車が出た時など、ご自身のペースで遊んでいただけたらうれしいです。
織茂:8周年を迎えられたのは間違いなくユーザーの皆さまのおかげです。今後は強みをさらに強化しつつ、より遊びやすいゲームを目指していきます。これからも変わらぬ応援をよろしくお願いします!
塚本:私からはアンバサダーとして、ユーザーの皆さまに意見をぶつけてほしいですね。私はファンの皆さまと制作陣のクッション役だと思っていて、良い部分も悪い部分もすべて吸い上げて伝えていければと思っています。私自身『ドリスピ』ファンとして、このゲームを好きになってくれる人が増えたらいいなと考えているので、さまざまなご意見をお待ちしています!
©BANDAI NAMCO Entertainment Inc.
鈴木雅矩
1986年生まれのライター。著書に『京都の小商い〜就職しない生き方ガイド〜(三栄書房)』。コンシューマーゲームとお酒と銭湯が大好きです。
レーシングドライバーとして、国内外のモータースポーツの分野で活躍し『ドリフトスピリッツ』7周年からアンバサダーに就任。山梨県やまなし大使、女子カート部(JKB)部長、そのほかモデル・タレントとしてTV・CM・イベントなどでも活躍。