「アイドルマスター」新プロジェクト!「ヴイアライヴ」&『シャニソン』によって広がり・深まる“アイドルプロデュース体験”【前編】【アイマスフューチャー連載② 勝股×高山】

ライバー活動を通してアイドル候補生を育成する「PROJECT IM@S vα-liv(ヴイアライヴ)」と、『アイドルマスター シャイニーカラーズ』が送る新作アプリ『アイドルマスター シャイニーカラーズ Song for Prism』。それぞれの企画背景や、新たな挑戦に対する思いとは⁉︎

「アイマスフューチャー連載」とは?
2023年以降の「アイドルマスター」シリーズを、アニメ/ゲーム/イベントなどの担当者が語る全3回のインタビュー。第2弾となる今回は、「PROJECT IM@S vα-liv(ヴイアライヴ)」のプロデューサー・勝股春樹さんと、『アイドルマスター シャイニーカラーズ Song for Prism』のプロデューサー・高山祐介さんが、それぞれの新プロジェクトについて語ります。

2022年12月に、IP(※1)軸戦略「PROJECT IM@S(※2) 3.0 VISION(サードビジョン)」(以下、「3.0 VISION」)を発表して以降、次々と新展開を見せている「アイドルマスター」(以下、「アイマス」)シリーズ。

※1 IP:Intellectual Property の略で、キャラクターなどの知的財産のことを指す
※2 PROJECT IM@S:「アイドルマスター」シリーズにおける、メディアミックス推進プロジェクトの総称

“ライバー活動(ライブ配信活動)”を通してアイドルデビューを目指す、アイドル育成プロジェクト「PROJECT IM@S vα-liv(ヴイアライヴ)」(以下、「ヴイアライヴ」)は、そんな「3.0 VISION」の一番槍とも言うべき存在。2023年4月14日に行われた発表会を経て、すでにその活動がスタートしています。

「PROJECT IM@S vα-liv(ヴイアライヴ)」のキービジュアル

さらに、続く4月29日にはリリース5周年を迎えた『アイドルマスター シャイニーカラーズ』(以下、『シャニマス』)が送る新作アプリとして、『アイドルマスター シャイニーカラーズ Song for Prism』(以下、『シャニソン』)が鋭意開発中であることも発表されました。

『アイドルマスター シャイニーカラーズ Song for Prism』のビジュアル

そこで今回は、「ヴイアライヴ」のプロデューサーを担当する勝股さんと、enza(※3)版『シャニマス』およびスマホ向けゲームアプリ版『シャニソン』のプロデューサーを兼任する高山さんに、それぞれの制作背景やそこに込められた思いなどを伺います。

※3 enza(エンザ):株式会社バンダイナムコネクサスが運営するブラウザゲームプラットフォーム

ゲームを原点とする「アイマス」を、ゲームの枠を飛び越えて展開してきた勝股さんと、『シャニマス』のゲーム制作現場に身を投じてきた高山さん。それぞれの立場から、「3.0 VISION」を経てさらに広がる「アイマス」の未来について語っていただきました。

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勝股 春樹

バンダイナムコエンターテインメント
「PROJECT IM@S vα-liv(ヴイアライヴ)」プロデューサー

2014年に入社し、「ミリオンライブ!1stLIVE」よりイベントプロデュースや、『アイドルマスター』シリーズのライセンス管理を担当。「THE IDOLM@STER MR ST@GE!!」の立ち上げ、「MIRAIKEN studio」設立にも携わる。

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高山 祐介

バンダイナムコエンターテインメント
『アイドルマスター シャイニーカラーズ』プロデューサー

『シャニマス』プロデューサーとして、enza版『シャニマス』、スマホ向けゲームアプリ版『シャニソン』のプロデューサーを兼任。2015年に入社し、立ち上げ初期から現在に至るまで『シャニマス』の運営・開発に携わる。

若手時代に、「アイマス縛りカラオケ会で意気投合!?

――「アイマスのゲーム外領域に長年携わられてきた勝股さんと、『シャニマス』のプロデューサーとして活躍されてきた高山さんですが、実は入社が1年違いの先輩・後輩関係だと伺っています。

勝股:僕は今に至るまで、主に「アイマス」のゲーム外領域に関わってきました。かたや高山くんといえば『シャニマス』プロデューサーとして、ゴリゴリにゲーム領域に携わってきた人間です。ということもあって接点らしい接点はない……のかというとそうでもなくて、意外と接点はあるよね?

高山:そうですね。勝股さんとは、これまでプロジェクトでご一緒する機会がなかったとはいえ、ひとつ上の尊敬する先輩です。包括的に「アイマス」シリーズに携わってくださっていることもあって、僕が『シャニマス』担当として「アイマス」チームに合流してからは、直接お話しする機会がよくありましたよね。

勝股:そういえば、僕が入社2年目で高山くんが新入社員だった時に、何人かで「アイマス」曲縛りのカラオケに行ったこともあったよね(笑)。

高山:ああ! たしか蒲田で。ありましたね、そんなことも(笑)。

勝股:当時は別の部署だったこともあり、高山くんは本当に「アイマス」が好きなんだなって思っていました。だけど今や、先輩・後輩というよりは”戦友”のほうがしっくりくるというか……。「安心して背中を任せられる」存在であり、チームの一員として「アイマス」について熱くディスカッションできる心強い仲間だと思っています。

高山:ありがとうございます!

『シャニマス』プロデューサーの高山さんと「ヴイアライヴ」プロデューサーの勝股さん
(写真左)『シャニマス』プロデューサーの高山さん、(写真右)「ヴイアライヴ」プロデューサーの勝股さん

筋書きのない新たな“プロデュース体験”を届ける、アイドル育成プロジェクト「ヴイアライヴ」

――「PROJECT IM@S vα-liv(ヴイアライヴ)」について詳しくお聞きする前に、まずはあらためて「PROJECT IM@S」とはどのような取り組みなのかを教えていただけますか。

勝股:「PROJECT IM@S」は、「アイマス」におけるメディアミックス展開推進プロジェクトです。そして、実はここでの“IM@S”は「Inter Media Artists and Specialists」の略として使っています。つまり、ゲームを原点としてスタートした「アイマス」を、アニメ、マンガ、音楽CD、ライブ、グッズなどの幅広いメディアで展開し、「アイマス」という作品のポテンシャルを最大化し、可能性を広げていくための取り組みだと捉えています。

2022年12月に発表させていただいたIP軸戦略「3.0 VISION」では、従来のメディアミックス展開と並行して、アイドルたちのタレント活動の幅をさらに広げていくべく、複合現実(※4)への取り組みのさらなる強化といった、現在とこれからのトレンドに向けた新機軸も加わっています。

※4 複合現実:現実世界と仮想世界を融合させる技術。MR(Mixed Reality)とも呼ばれる

――ライバー活動(ライブ配信活動)を通してアイドル候補生がアイドルデビューを目指す「ヴイアライヴ」の立ち上げや、『シャニマス』の環境省コラボなどは、まさに「3.0 VISION」を体現するような取り組みであるわけですね。

勝股:そうですね。例えばenza版の『シャニマス』や現在開発中の『シャニソン』が、いわば”原作”たるゲームとして『シャニマス』の世界観や魅力をより深めるものだとするならば、「PROJECT IM@S」は、ゲームで作り上げた「アイマス」各ブランドの世界観・魅力を、生活のあらゆるところでプロデューサーさん(※5)たちに楽しんでいただけるように、領域を拡張していく活動だと思っています。

「3.0 VISION」は特に、「アイマス」の世界と日常が溶け合った体験を増やしていく方向です。『SideM』のお仕事コラボや、『シャニマス』の環境省コラボは象徴的な取り組みなのではないかと思っていますし、「ヴイアライヴ」もそうなれるとうれしいですね。

高山:勝股さんに仰っていただいた通り、環境省とのプラスチック資源循環に関するお取り組みは、アイドルたちが我々の世界で活躍しているようなイメージです。こうしたお取組みの際にも『シャニマス』とではなくアイドルやアイドルユニットとのコラボレーションが増えている印象があり、それはまさに「3.0 VISION」ならではかもしれません。

※5 プロデューサーさん:「アイドルマスター」シリーズのファンのこと

環境省×アイドルマスター シャイニーカラーズコラボのビジュアル

――そんな「3.0 VISION」の一番槍ともいうべき「ヴイアライヴ」について、具体的な活動内容を教えてください。

勝股:「ヴイアライヴ」は、「3.0 VISION」における、(複合現実技術を駆使して)アイドルたちのタレント活動のさらなる拡大を推進するプロジェクト――「“MR”-MORE RE@LITY-プロジェクト」の一環として新規に立ち上げたコンテンツです。

勝股:近年、VTuberの活躍といった、生活の中で自然にキャラクターと触れ合える場、キャラクターが活躍できる土壌というものが、今まで以上に広がってきていると感じています。「ヴイアライヴ」はそんな“新しい日常”のなか、 これまでにない切り口でなにか提供できる可能性はないか、というところから始まったプロジェクトです。

アイドル候補生がプロデューサーの皆さんとともに、ライバー活動を通じてアイドル、ひいてはトップアイドルになることを目標に成長していく。生配信の特性を活かして筋書きのないドラマを一緒につくる、そんな共創型のリアリティーショーがプロジェクトの目指す姿です。

上水流宇宙、灯里愛夏、レトラのビジュアル
左から順番に、上水流宇宙(かみずるこすも)、灯里愛夏(ともりまなか)、レトラ。

――これまでゲームを発端に展開してきた「アイマス」とは一線を画す、ライバー発のコンテンツ……それもアイドルの”候補生”を描くという点で、非常に挑戦的な取り組みだと思います。

勝股:まさに、今回のプロジェクトは“新しい可能性”を創り、広げることが大きなテーマとなっています。新しい楽しみ方の可能性、そして、新たなアイドルが誕生する可能性、そういった「アイマス」の未来につながるチャンスの場を創ることに挑むプロジェクトということもあり、「ヴイアライヴ」は「アイドルマスター」名義ではなく「PROJECT IM@S」名義としています。

――ライバー活動として、「ヴイアライヴ」ならではの部分はどこでしょうか?

勝股:「ヴイアライヴ」ならではの魅力は、ふたつあると考えています。ひとつ目はオーディション要素です。これは、アイドル候補生たちがアイドルを目指して活動していくストーリーに表れています。ふたつ目は、視聴者参加型であることです。筋書きのないストーリーに対して、リアルタイムで、かつ、インタラクティブに、臨場感をもって関わることができます。

そのどちらにも関わるのが、「ヴイアライヴ」のアイドル候補生は、プロデューサー(視聴者)の皆さんの支持を得られなかった場合は活動終了となってしまう、という部分です。アイドル候補生には2023年4月~2024年3月までの約1年間の活動期限があり、2024年2月に待ち受ける最終審査に合格した者のみがアイドルデビューを果たします。

――まさに、ガチンコのアイドルオーディション企画となっているわけですね……!

勝股:“プロ”のアイドルとして活動していくチャンスを作るというのは、実際には簡単なことではありません。そのような、本来表層化しない、だけど現実として存在するシビアな部分もさらけ出して、そこも含めて嘘のないリアリティーショーを作りたかったんです。

ただ、そのうえで先ほども話したとおり、このプロジェクトは可能性を創る挑戦の場にしたいと思っています。プロとして活動するためのハードルは設けるものの、僕たちはこの候補生たちにアイドルになってほしいんです。だからこそ、「ヴイアライヴ」では仮に3名とも最終審査に合格した場合、全員がアイドルデビューを果たせるようになっています。椅子取りゲーム的なサバイバル形式ではないので、そこはご安心いただければと思います。

――アイドルデビューの決め手となるのはやはり、プロデューサーによる投票なのでしょうか?

勝股:はい。最終審査はプロデューサーの皆さんによる支持率投票です。”アイドルマスター ポータル“(以下、”ポータル”)上の投票機能で、アイドル候補生の”ライバーとしての活動成果”を通じて将来性や魅力を評価していただき、昇格ラインの投票数を得られた候補生がアイドルになれる制度となっています。

今後、”ポータル”上に、投票をはじめとしたインタラクティブに楽しめるコンテンツを順次ご用意していく予定です。ライブ配信だけでなく”ポータル“も使って、これまで取り組んできたノウハウ――メディアミックスを軸にさまざまな“つながり”を模索・探求してきたからこそお届けできる楽しみ方を増やしていければと思っています。

「ヴイアライヴ」プロデューサーの勝股さん

「圧巻のパフォーマンスを披露!」を現実に――育成シミュレーション&リズムゲーム『シャニソン』

――高山さんにお伺いします。『シャニマス』の新作アプリとして発表された『シャニソン』について、ゲーム内容や企画の経緯を教えてください。

高山:『シャニソン』は、enza版『シャニマス』の世界観を引き継ぐ新規アプリとして開発している、アイドル育成シミュレーション&リズムゲームです。皆さんは283(ツバサ)プロダクションのプロデューサーとなり、所属するアイドルユニットを育成し、手塩にかけて育てたアイドルをステージに送り出すという内容です。

『シャニマス』の新作アプリでリズムゲームを採用した理由のひとつとしては、enza版『シャニマス』のステージ演出面が挙げられます。というのも、enza版『シャニマス』では、ゲーム内で育成したアイドルが見事オーディションを突破するとテレビ出演が叶って、ステージパフォーマンスの様子が描かれるのですが……ブラウザゲームゆえに2Dのデフォルメキャラがかわいく踊って、画面右上に「圧巻のパフォーマンスを披露!」という字幕が表示される、という表現に留まっていたんです。

「これが、本当の意味での”圧巻のパフォーマンス”として描けたら良いよね」という思いが、『シャニソン』の企画の根底にはありました。3Dモデルとなったアイドルたちが輝かしいステージに立って、歌とダンスで最高のパフォーマンスを見せてくれるゲームにしたかったんですよね。そこにゲーム性を掛け合わせるのであれば、やはりリズムゲームだろうという結論に至ったわけです。

『シャニマス』プロデューサーの高山さん

――enza版『シャニマス』といえば骨太な育成シミュレーション要素が魅力ですが、『シャニソン』にも継承されている部分はあるのでしょうか。

高山:『シャニソン』はリズムゲームをひとつの軸としつつ、育成要素をもうひとつの軸として用意することで、”アイドルを育成→リズムゲームに挑戦”というサイクルが生まれるよう設計しています。育成を通して、さまざまな経験を積みながら、その結果として成長したアイドルたちと一緒にリズムゲームに挑戦するという流れです。プロデュースやリズムゲームをプレーいただくことで、能動的に「また一歩、前に進んだな」という達成感を得てもらえるようなゲームを目指しています。

企画段階では、最低限の育成要素のみを実装したシンプルなリズムゲームにする案もありました。しかし、最終的にアイドル育成シミュレーション&リズムゲームとしたのは、単にリズムゲームを楽しむだけではなく、そこでパフォーマンスを披露しているアイドルたちや楽曲に対して、プロデューサーの皆さんがより深い愛着や思い入れをもってもらえるようなゲームにしたかったからです。

もちろん、アイドルを育成するうえで目標となるステージのビジュアルや、演出・モーションなどのクオリティには力を入れていますし、ただ育ててステージに送り出すだけでなく、どんな姿で送り出すかも重要だと思っているので、『シャニソン』ではアイドルたちの髪型や衣装、アクセサリーといったカスタマイズ機能も用意しています。

また、育成シミュレーションとリズムゲームという2軸をかけ合わせると、スマホ向けゲームアプリらしからぬボリュームになってしまい、カジュアルに遊ぶことが難しくなる恐れもありましたので、スキマ時間で気軽にプレーしたい人に向けたオート機能やスキップ機能なども実装を予定しています。

――ちなみに、『シャニソン』の正式リリース以降も、enza版『シャニマス』のサービスは続けていくのでしょうか。

高山:ご心配されているプロデューサーさんも多いと思いますが、『シャニソン』も、enza版『シャニマス』も、並行して運営・開発を続けていきます。

enza版『シャニマス』は、一人ひとりのアイドルとの、1対1の育成やコミュニケーションに焦点を当てたゲーム性なのに対して、『シャニソン』は”アイドルユニット”をプロデュースし、輝くステージに導いていく内容になっています。『シャニソン』から『シャニマス』の世界観に触れてくださったという人は、ぜひenza版『シャニマス』もプレーしてみてください。アイドルたちそれぞれがどんな表情を見せてくれるのか、という部分を、より深く掘り下げていく楽しみにも出会えるのではないかと思います。

先輩・後輩コンビが、「アイマス」の未来を見据えた挑戦志向について熱くクロストーク!?
気になるインタビュー後編はこちら↓

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【取材後記】
アイドル候補生がライバー活動を通してアイドルデビューを目指す「ヴイアライヴ」。enza版『シャニマス』の魅力を継承しながらも、新たな切り口からアイドルたちを輝かせていく過程を楽しむことができる『シャニソン』。勝股さん、高山さんからは、アプローチは違えどアイドルたちの活動の幅を今以上に広げていきたいという熱き思いが感じられました。

後編では、そんなおふたりが「アイマス」の未来を見据えて取り組む、”期待の斜め上を超える挑戦志向”についてクロストーク形式で語っていただきます!

取材・文/山本雄太郎
1994年生まれのフリーライター。ゲーム、esports関連の分野を中心に、イベントレポート記事やインタビュー記事などを執筆。

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