ナルトとサスケが再び激突!「ナルティメットストーム」シリーズ決定版。1つとして同じ螺旋丸はない!?

2023年11月16日に発売を迎えた『NARUTO X BORUTO ナルティメットストームコネクションズ』。今作のプロデューサーである須藤穂高さんと鈴木禄之さんにインタビューを行い、作品に込められたこだわりを伺いました。

圧倒的なアニメ再現が魅力の「ナルティメットストーム」シリーズ、その最新作にして決定版となる『NARUTO X BORUTO ナルティメットストームコネクションズ』が11月16日に発売を迎えました。

NARUTO X BORUTO ナルティメットストームコネクションズのキービジュアル

今回は、今作のプロデューサーである須藤穂高さんと鈴木禄之さんにお話を伺い、こだわり抜かれたアニメ再現や130以上の忍が使えるバトル、ナルトとサスケの対立を軸にボルトの世代への橋渡しを行うスペシャルストーリーモードなど、今作で注力された部分について語っていただきました。

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須藤 穂高

バンダイナムコエンターテインメント 第1IP事業ディビジョン 第2プロダクション

『NARUTO X BORUTO ナルティメットストームコネクションズ』プロデューサー。マーケティング部門でもシリーズ過去作に携わり、2020年からはプロダクションチームに加わって作品のプロデュースに携わる。

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鈴木 禄之

バンダイナムコエンターテインメント 第1IP事業ディビジョン 第2プロダクション

『NARUTO X BORUTO ナルティメットストームコネクションズ』プロデューサー。バンダイでカードゲーム事業に携わり、2023年より今作のチームに加入。発売後の配信コンテンツなどのプロデュースにも携わる。

アニメ再現は当たり前、その先をいく「超アニメ表現」を

――「ナルティメットストーム」シリーズと言えばハイクオリティなアニメ再現が魅力ですが、今作で特にこだわったのはどのような部分でしょうか。

須藤:単にアニメを再現するだけでなく、アニメ以上の見せ方をすることです。ファンの方々が脳内で補完していた部分を映像に起こすこと、我々はこれを「超アニメ表現」と呼んでいます。

プロデューサーの須藤さん
プロデューサーの須藤さん

――アニメ再現はもはや当たり前であると。

鈴木:はい。「ナルティメットストーム」シリーズには合体奥義という、特定の忍の組み合わせで出せる術があります。どれも演出がド派手で、かつ本作だけの奥義も多いため、まさに「超アニメ表現」の集大成のような要素なんです。

今作で追加される合体奥義には、サスケ、サクラ、サラダが一緒に術を出す奥義や、ナルト、ヒナタ、ボルトのほほ笑ましいやり取りが見られる奥義もあります。ファンの納得感のさらに上をいく、思い描いた以上のものを見せることにこだわっているんです。

プロデューサーの鈴木さん
プロデューサーの鈴木さん

「1つとして同じ螺旋丸はない」こだわりの術演出

――「ナルティメットストーム」がシリーズを通して大事にしていることは何でしょうか。

須藤:やっぱり、好きな忍を使って派手な忍術や奥義が出せて、それが相手に当たることで、自分でその術を出したんだという感覚になれるところですね。この超アニメ表現が作品の9割以上を占めていると思います。

鈴木:本作は10年以上続くシリーズですけど、手軽に忍者ごっこを楽しめることが変わらず軸になっています。変わり身の術を使ったり、チャクラダッシュで素早く相手に接近したり、頭の中で考えていた忍者ごっこが誰でも簡単にできてしまう。その根幹は変わっていないと思います。

プロデューサーの鈴木さんと須藤さん

――今作のバトルではどのような部分が新しくなっているのでしょうか。

須藤:遊んでいたけどしばらく離れていた人や初めて触れる人でも遊びやすいように、シリーズで初めて操作モード「シンプル」を搭載しています。1つのボタンを押すだけでコンボがつながっていく、といったものですね。

ファンからの要望も多かった部分としては、今回はセットできる忍術が2つに増えています。『NARUTO-ナルト-』(以下、『NARUTO』)の魅力は忍ごとに多彩な忍術が使える点なので、近距離、遠距離で使い分けて、いろいろな戦い方を楽しんでほしいですね。

――たくさんの忍がいる中で、お二人が個人的に気に入っている忍や演出があれば教えてください。

須藤:『BORUTO-ボルト- NARUTO NEXT GENERATIONS』(以下、『BORUTO』)で描かれる関係性も含めてなんですけど、九喇嘛(クラマ)の命と引き換えに出てきた重粒子(バリオン)モードのナルトが使えるのは、個人的には感無量というか、アツいですね。ファンからの要望も多い忍だったので、初めて映像を見たときは感動しました。

重粒子(バリオン)モードのナルト
重粒子(バリオン)モードのナルト

鈴木:僕もナルトになってしまうんですけど、PVを作るにあたって螺旋丸を撃つシーンを集めていたんですね。少年編、疾風伝、仙人モードなど、どのナルトの螺旋丸を見ても1つとして同じカット割り、同じ動作のものがないんです。忍と忍術を極限までかっこよく表現したい、というこだわりが強く出ている部分だと思うので、ストーリー内の演出も含めて、螺旋丸など術の演出には注目してほしいです。

螺旋丸を撃つナルト1
螺旋丸を撃つナルト2
螺旋丸を撃つナルト

魅力的なアニメ主題歌もダウンロードコンテンツとして配信

――今回初めて搭載された機能があれば教えてください。

須藤:シリーズで初めて、アニメで使用されていた楽曲をバトル中に流せるようになっています。これまで実現できていなかった部分なのですが、今回は決定版ということで有料ダウンロードコンテンツですが形にすることができました。

――告知用トレーラーではゲームでオープニング映像を再現するなど、ファンにはたまらない見せ方がされていましたね。

須藤:そうですね。魅力的なアニメ主題歌に合わせて、それぞれのオープニング映像で流れていた印象的なシーンを再現しています。ここは鈴木ががんばってくれた部分ですね。

鈴木:先ほどいろんな螺旋丸をチェックしたというお話をしたのは、まさにこのためですね。

須藤:楽曲を聞きながらアニメで戦っていた忍の編成で連戦に挑む「サバイバルモード」も用意しています。当時アニメを見ていた人、最近アニメを見はじめた人にはエモいものとして楽しんでもらえるのではないかと思っています。

『NARUTO』の作品だからこそ、勝敗ではなく忍を活かすためのバトルに

――前作に引き続き、今作でもオンライン対戦のモードが実装されています。ここ数年で、対戦格闘ゲームにはeスポーツの波も来ているかと思います。このあたりの影響はありましたか?

須藤:忍が130以上いて、かつスリーマンセルでチームを組んで戦うので、一見eスポーツ向きではあります。「鉄拳」シリーズや「ソウルキャリバー」シリーズのような、1フレーム単位でしのぎを削るような楽しみ方も、もちろんできるとは思います。でも私たちとしては、好きな忍を自由にバトルで使っていただくことで、より思い入れが強くなっていくようなゲームとして設計しているんです。

プロデューサーの須藤さん

――あくまでキャラクターゲームである、と。

須藤:はい。まだeスポーツという言葉が生まれる前に、「ナルティメットストーム」シリーズで大会を開いたことがあったんですよ。当時は一部のキャラクターがかなり強く、大会中はそのキャラを使っている方が多かったので、代わり映えのない状態が続いていて(笑)。

これは行き過ぎた例ですけど、当たり判定が小さいから小柄な忍を使う、みたいな視点ではなく、この忍が好きだから、この忍の合体奥義を見たいから、そういう風に遊んでいただけるとうれしいですね。

――勝つことが軸ではないのは、いわゆる対戦格闘ゲームと違う部分ですね。

須藤:「忍者とは忍び堪える者のこと」と自来也が語ったように、『NARUTO』という作品は戦うこと自体が目的ではないのが、ほかのバトルマンガとは違う部分だと思うんです。eスポーツという側面があっても良いとは思います。でも、まずはその好きな忍を活かすためにどんなバトルをしていけばいいかを創意工夫して楽しんでいただければ、と。

――開発過程で特に苦労したことはありましたか?

須藤:「ナルティメットストーム」シリーズは国内だけでなく、欧米を中心とした海外のファンにも楽しんでいただいているため、今回は16言語という、弊社の家庭用ゲームでも非常に多い対応言語数となっています。最も親しまれている媒体がアニメの国・地域のためには、ローカライズのチームと協力してアニメ準拠の用語集を用意し、制作に活かしました。世界中のファンが『NARUTO』の世界観に没入できるように、こだわった部分です。

プロデューサーの須藤さんと鈴木さん

やっぱり『NARUTO』はナルトとサスケの物語

――今作では少年編から最終決戦までの物語を選りすぐって収録しているとのことですが、こちらを楽しめるヒストリーモードの特徴を教えてください。

須藤:『ナルティメットストーム1』から『ナルティメットストーム4』までの過去作のストーリーをじっくりプレイすると、相当なボリュームになってくるんですよね。なので今作は手軽に楽しめるように、ハイライトされているシーンをまとめて、間の部分に関しては当時の懐かしいアニメの場面写真とナレーションで振り返る形にしています。

鈴木:人によって思い入れのある場面は当然違うと思うんですけど、どうしても取捨選択は必要なんですよね。今作は、どこまでいってもナルトとサスケの物語だ、というところに軸を置いているので、二人に大きな転機が訪れる場面や二人の成長につながるバトルをピックアップしています。

――今作ではナルトとサスケの対立が一本の軸になるということでしたが、マンガやアニメで描かれた二人の対決の中で、特に印象に残っているのはどれでしょうか。

須藤:僕は、中忍試験が終わった後に病院の屋上で戦うところですかね。

鈴木:やっぱりそうなりますよね。僕もです(笑)。

須藤:じゃあ終末の谷にしようかな(笑)。

鈴木:いやいや、どうぞどうぞ。

須藤:あそこは本当にターニングポイントだったなと思います。ウサギとカメというか、それまでは劣等生みたいな立場だったナルトが、給水タンクを破壊した螺旋丸の威力を披露して、初めてサスケを打ち負かすんですよね。

それをきっかけにサスケは力を求めて大蛇丸のもとへ……と物語が大きく動き出すので、やっぱり一番印象に残っています。最後に二人が和解するところも、病院でつけられなかった決着がようやくついたのかな、と個人的には解釈しているんです。

病院の屋上で戦うナルトとサスケ
病院の屋上で戦うナルトとサスケ
プロデューサーの須藤さんと鈴木さん

鈴木:やっぱり良いですよね。サスケの良いところを見たうえで、あそこで徹底的にボタンが掛け違ってしまうのは、小学生ながらに当時マンガを読んでいて切ないものがありました。

病院の場面以外だと、ナルトが大蛇丸のところに行ったサスケと再会する場面ですかね。なんだかんだ昔みたいなやり取りがあるかと思っていたんですけど、本当に人が変わったようなサスケがそこにいて、当時はすごくショックでした。サスケが大好きだったので、一度マンガを閉じたのを覚えています(笑)。

――スペシャルストーリーモードでも二人が1つの軸になるんですよね。ぜひ見どころや、全体を通しての楽しみ方を教えてください。

須藤:まず「どうしたナルト?」となる展開があります。昔のサスケとナルトの立場が逆転したような見え方で物語が始まるので、その結末はぜひ実際にプレーする中で確かめてもらえればと思います。

鈴木:中盤以降には、アニメやマンガを見ているからこそグッとくる二人のやり取りがあるんです。お互いの立場が変わった状況で、とあるシーンをリフレインするような良い場面なので、ぜひ見ていただきたいですね。

全体を通して、これまで『NARUTO』に触れてきた方、今回から触れる方、誰が触れても作品への愛が伝わるものにできたと実感しています。『NARUTO』ファン同士が交流し合うきっかけに、ファン同士をつなげる架け橋になるようなゲームになってほしいですね。あとは、今マンガ連載がアツい『BORUTO』への熱も高めてもらえたらと思います。

2023年11月16日発売の『NARUTO X BORUTO ナルティメットストームコネクションズ』のパッケージ
2023年11月16日発売の『NARUTO X BORUTO ナルティメットストームコネクションズ』

スペシャルストーリーで再び激突するナルトとサスケが見られるスペシャルストーリーモード冒頭映像や、最新情報は公式サイトでチェック↓

『NARUTO X BORUTO ナルティメットストームコネクションズ』

【取材後記】
連載がスタートした時期からマンガを読んでいた世代として、『NARUTO』のゲームも身近な存在でした。インタビュー中にお二人の作品愛があふれていたのが印象的。やはり病院屋上でのあの一戦はアツい!

取材・文/村田征二朗
1989年生まれのライター。しゃれこうべ村田、垂直落下式しゃれこうべライターMなどの名でも活動し、コンシューマータイトルやスマートフォンアプリのゲーム関連記事を執筆。原稿料の8割はプロレス観戦のチケット代に消える。

©岸本斉史 スコット/集英社・テレビ東京・ぴえろ
©劇場版NARUTO製作委員会 2012
©劇場版NARUTO製作委員会 2014
©劇場版BORUTO製作委員会 2015
©Bandai Namco Entertainment Inc.