2022年9月、『テイルズ オブ アライズ』(以下、『アライズ』)の発売1周年を記念し、『アライズ』制作陣と『スカーレットネクサス』(以下、『スカネク』)制作陣、および同作の敵キャラクター・怪異をデザインした山代政一さんにお集まりいただき、ゲームの“敵キャラ“に関する座談会を行いました。
記事は国内だけでなく、北米・欧州・アジアで配信され、一部の地域では両制作陣に描いてほしいイラストを募集したところ、たくさんのリクエストをいただきました。今回は、その中から読者の皆さまの関心が高そうなリクエストをピックアップし、実際に描き下ろされたイラスト6点と、各制作者からのメッセージを合わせてお届けします。(イラストのリクエスト募集につきましては、2022年9月末で終了しております)
リクエスト:『スカネク』新怪異の生態
まずは、前回の座談会企画で山代さんが描き下ろしてくださった怪異・Creep Reap(仮名)の生態を描く、というお題のイラストです。制作してくださったのは、もちろんその怪異をデザインした山代政一さん。
――いただいたリクエストからどのように想像を膨らませて描かれましたか?
山代:本作世界のいたるところに生えている赤い花は『赧(タン)』といい、獲物を解体し、脳を捕食するために多くの怪異が共通して用いるカトラリーとして設計しています。作中で怪異の詳細な食事シーンは描かれていませんが、『赧』は各地に食事跡として残されています。
目的は定かではありませんが、『Creep Reap(仮名)』は『赧』を集めて回る習性をもつ怪異です。本イラストは、そんな『Creep Reap(仮名)』が『赧』の収集をそっちのけで獲物に駆け寄る様を描いています。
見慣れた怪異連中が群れる抽象的な謎空間を背景に、怪異画として特異生命研究施設に飾れそうな仕上がりにしています。
――リクエストしてくださった方へのメッセージをお願いします。
山代:皆さまのリクエストのおかげで山代に再度の出番が回ってきました。このような機会をいただきありがとうございます。めちゃくちゃがんばりましたので、めちゃくちゃ見ていただけますと幸いです!
本作に携わった経験はまじめに何ものにも代えがたく、『スカーレットネクサス』の世界が今後も広がり続けることを、すこぶる真剣に願っております。
リクエスト:『スカネク』ユイト、ナギ、カサネ、ナオミの4人が街で遊んでいるところ
続いては、ユイトとカサネ、ふたりの主人公とそれぞれ関わりの深いナギ、ナオミが4人で遊びに行くというリクエスト。イラストを制作してくださったのは、『スカネク』のコンセプト、キャラクターデザインを担当したバンダイナムコスタジオの石川珠実さんです。
――いただいたリクエストからどのように想像を膨らませて描かれましたか?
石川:遊ぶ、といっても誰かが強烈に興味のあるイベントにかこつけないと、一緒に出かける計画が空中分解しそうなイメージがあったので、まずはそこから考えていきました。
「スメラギ陵でギラギラ系のブランドとバッキィちゃんが短期コラボを開催。(ゲームかおみくじで)レアバッキィ人形が貰えるかも!?」というイベントなら、熱心なバッキィファンのユイトが率先して参加し、ナギがナオミを誘い、そこにカサネもついて行く形式で成立しそう……と想像しました。
――リクエストしてくださった方へのメッセージをお願いします。
石川:4人でスメラギ陵へ遊びに行き、出店の景品のレアバッキィ人形を当てた様子を描かせていただきました。カサネは無欲だし引きが強そうです。そして物欲センサーが働いてしまうユイト……。
ナオミやナギは素直で表情豊かに動くので、描いていてハッピーな気持ちになりました! リクエストありがとうございました!
リクエスト:『スカネク』アラシが非常に難しいゲームを遊んでいて挫折しているのを、ツグミとハナビが慰めるところ
『スカネク』最後のお題は、ゲーマーでもあるアラシが挫折を味わった瞬間を描くというもの。このイラストを制作してくださったのも、石川珠実さんです。
――いただいたリクエストからどのように想像を膨らませて描かれましたか?
石川:対戦格闘ゲーム『決闘Ⅳ』のオンラインプレイで負け続けたアラシが荒れてコオラノキを飲み干しまくり、ツグミはそれを後ろで静かに応援。あまりの連敗にぼうぜんとするアラシに、ハナビが息抜きに飲み物をあげている、という情景を想像しました。サトリさんとたまに対戦してたりしない……? しないか。
――リクエストしてくださった方へのメッセージをお願いします。
石川:アラシが負けるなんて一体相手はどんな人なんでしょうね……!? 見かねたハナビはレアなフレーバーのコオラノキでなんとか慰めようとしています。ぼうぜんとするアラシが描けて楽しかったです。おもしろいお題のリクエスト、ありがとうございました!
リクエスト:『アライズ』アルフェンがシオンにパンケーキを食べさせているところ
『アライズ』側の1枚目は、主役たるアルフェンとシオンを描いたもの。こちらのイラストを制作してくださったのは、座談会記事にも何度かご登場いただいている『アライズ』アートディレクター&メインキャラクターデザイナーの岩本稔さんです。
――いただいたリクエストからどのように想像を膨らませて描かれましたか?
岩本:ゲーム中の冒険をしているシオンは、食べ物に対してとっても積極的ですが、わりとクールに対応していました。それなら、みんなと冒険を経て心が打ち解けたシオンは食べ物に対してどんな表情をするんだろう、と想像して描いたイラストです。
結婚式のファーストバイトにて、大きなスプーンですくったケーキをアルフェンから差し出されて、びっくりするどころか早く食べさせてと目をキラキラさせているシオンのかわいさを、ちょっと子どもっぽい無邪気な表情で描かせていただきました!
――リクエストしてくださった方へのメッセージをお願いします。
岩本:すてきなお題をいただきありがとうございます! 結婚式の一幕、食べ物を見ると目の色が変わるシオンを描けてとてもうれしかったです!
リクエスト:『アライズ』ジルファが幼少期のロウを抱っこしている様子
続いては、『アライズ』序盤に登場するキーキャラクターのジルファと、彼に育てられたロウの過去を描いた1枚。イラストを制作してくださったのは、『テイルズ オブ ゼスティリア』、『テイルズ オブ ベルセリア』でサブキャラクターデザインを担当し、『テイルズ オブ クレストリア』ではメインキャラクター・ヴィシャスのデザインを担当した小林美由紀さんです。
――いただいたリクエストからどのように想像を膨らませて描かれましたか?
小林:幼いロウを抱っこしているジルファです。ロウがやんちゃなイメージで進めたのですが、ジルファは子どもの扱いに慣れてないのでは? と想像を膨らませて描きました。ロウの髪に入っているピンクのメッシュは反抗期の証のイメージとのことだったので、まだメッシュはなく、ジルファも顔に大きな傷を負う前のイメージです。
――リクエストしてくださった方へのメッセージをお願いします。
小林:とてもすてきなリクエストありがとうございます! 若いジルファを描く機会があるとは思ってもいなかったので、とても楽しく描かせていただきました。
リクエスト:『アライズ』テュオハリムの着替えを手伝っているキサラとリンウェル
最後は、正装に着替えるテュオハリムとその世話を焼くキサラ、リンウェルのイラストです。描いてくださったのは、『テイルズ オブ シンフォニア ラタトスクの騎士』ではモンスターデザイン&グラフィックリードを、『テイルズ オブ エクシリア』ではモンスターモデルアーティストを務めた川口徹さんです。
――いただいたリクエストからどのように想像を膨らませて描かれましたか?
川口:テュオハリムの着替えを手伝っているキサラと、リンウェルもそこにいるということで、日常の1コマというよりはみんなでおめかししている所なのかなと想像しました。なので、衣装は『テイルズ オブ オーケストラコンサート』の際にデザインされた衣装で、オーケストラの控室でいろいろと支度しているのかなといったイメージで描いてみました。
キサラはもう慣れたもので、いつものようにテュオハリムのお世話をしながら和やかに、リンウェルはちょっと不満げながらも手伝ってあげているシーンを、『アライズ』本編の冒険にも思いをはせながら描きました。
――リクエストしてくださった方へのメッセージをお願いします。
川口:すてきなリクエスト、ありがとうございました! 『アライズ』のパーティーメンバーたちが和やかに絡んでいるところを描けてとても楽しかったです!
皆さまのご感想をお聞かせください!
募集したリクエストをもとにしたイラストだけあり、『スカネク』『アライズ』ともにゲーム本編で描かれなかった日常や過去、未来などさまざまなシーンが登場しました。
ファンファーレでは皆さまからのご意見、ご感想をアンケートにて募集しています。アンケートのご回答は編集部にて拝見し、その一部をファンの皆さまからの“声”として、「Fan’s Voice」という新コーナーで後日公開させていただきます。
「このイラストのここがよかった!」「このキャラクターのこんな場面が見られるなんて!」などなど、皆さまからのたくさんのご意見、ご感想をお待ちしております!
ファンファーレでは皆さまのご意見、ご感想を募集しております! 編集部にて拝見させていただきました上で、今後の改善のための参考にさせていただきます。
また、12月9日(金)より販売開始の両タイトルがセットになった「バンドルパック」はこちら!
【編集後記】
制作陣が描き下ろしイラストを制作してくれるという、贅沢すぎる今回の企画。座談会記事でも圧倒的存在感を放った『スカネク』の新規怪異は動きが加わったことでより異質さが際立ち、ゲームで登場したらどう戦おうかという想像を膨らませてくれます。
『アライズ』側ではゲーム本編では描かれない過去、あるいはエンディングの先を思わせるイラストもあり、今回のような描き下ろし企画ならではの描写が見られます。どちらの作品も一部のキャラクターは幸せそうに描かれていればいるほど刺さるところもあり、「そのまま平和に暮らすことができれば……」という絶妙な感情を呼び起こしてくれますね……!
取材・文/村田征二朗
1989年生まれのライター。しゃれこうべ村田、垂直落下式しゃれこうべライターMなどの名でも活動し、コンシューマータイトルやスマートフォンアプリのゲーム関連記事を執筆。原稿料の8割はプロレス観戦のチケット代に消える。
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SCARLET NEXUS™ & © Bandai Namco Entertainment Inc.
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