「戦闘力5」の視点で『ドラゴンボール』の世界を体験!?『ドラゴンボール ザ ブレイカーズ』制作陣が語るファンとのつながり

2022年にリリースされた非対称型アクションゲーム『ドラゴンボール ザ ブレイカーズ』。強大な力を持つレイダーに一般人が立ち向かう本作について、制作のきっかけから“圧倒的戦力差”というコンセプトや、ファンとともに作り上げていく運営などについて、制作陣の3人にお話を伺いました。

『ドラゴンボール』を原作マンガ・アニメとしたゲームでは初となる非対称型アクションゲーム(※1)としてリリースされた『ドラゴンボール ザ ブレイカーズ』。今回は、本作の制作プロデューサーである原さん、運営プロデューサーの廣森さん、マーケティング担当の田中さんにインタビューを行い、制作の経緯や作品のコンセプト、ファンの声に寄り添った運営へのこだわりなどを伺っています。

※1 非対称型アクションゲーム:所属する立場や陣営によって、プレイヤーの人数、戦力、勝利条件などが異なる対戦ゲームのこと。『ドラゴンボール ザ ブレイカーズ』では、フリーザやセルのような強大な力を持ち1人で行動するキャラクターを「レイダー」、超パワーを持たず複数人で行動する一般人を「サバイバー」と呼称。

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原 良輔

バンダイナムコエンターテインメント
第1IP事業ディビジョン第1プロダクション

『ドラゴンボール ザ ブレイカーズ』制作プロデューサー。『ドラゴンボール ゼノバース2』や『僕のヒーローアカデミア One’s Justice』に携わり、『ドラゴンボール Z KAKAROT』のプロデューサーも務める。

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廣森 亮太

バンダイナムコエンターテインメント
第1IP事業ディビジョン第1プロダクション

『ドラゴンボール ザ ブレイカーズ』運営プロデューサー。『デジモン』関連のスマートフォンアプリ、家庭用ゲームに携わり、2022年4月にサービス終了した『デジモンリアライズ』では運営プロデューサーを務めた。

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田中 由依

バンダイナムコエンターテインメント
グローバルマーケティングディビジョングローバルマーケティング部

『ドラゴンボール ザ ブレイカーズ』マーケティング担当。これまでNintendo Switch版『ナムコミュージアム』、『JUMP FORCE』のマーケティング担当を務める。

非対称型アクションゲームだからこそ描ける“圧倒的戦力差”

――2022年10月に本作『ドラゴンボール ザ ブレイカーズ』がリリースされました。リリース後のファンの方々の反響を見てのお気持ちはいかがでしょうか。

原:本当に感慨深い気持ちでいっぱいです。とにかく賑やかに遊んでほしいという思いで開発してきたので、ファンの皆さまが楽しまれているのを見ると、本当に感慨深いです。

『ドラゴンボール ザ ブレイカーズ』制作プロデューサーの原さん

廣森:運営側の担当者としては、むしろこれからが本番だと身が引き締まる思いです。本作を楽しんでいただいている皆さまの声は素直にうれしいですが、一方で、まだまだ足りない部分や、もっとよくしていける点への意見があることも認識しています。今後も長く運営していけるように、一つひとつ課題を解決していきながら、ファンの皆さまと一緒にゲームをよりおもしろくしていきたいと思っています。

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『ドラゴンボール ザ ブレイカーズ』運営プロデューサーの廣森さん

田中:非対称型アクションゲームというジャンルは『ドラゴンボール』シリーズとしては新しいので、それが楽しんでいただけるのか最初少し不安でした。でも情報を出してみたところ、ファンの皆さまから良い反応をいただけて、リリース後も楽しんでいる様子を動画などで投稿してくださり、その広がりが素直にうれしいです。

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『ドラゴンボール ザ ブレイカーズ』マーケティング担当の田中さん

――そもそも本作はどのような経緯で開発が始まったのでしょうか。

原:バンダイナムコエンターテインメントは、過去にさまざまな『ドラゴンボール』のゲームを発売してきましたが、基本的に強い者同士のバトルや物語の追体験を主としていました。

そこで、本作では別の切り口で『ドラゴンボール』の魅力を表現できないかと考え、作品ならではの「強者と弱者の“圧倒的戦力差”」という点に着目しました。星を破壊してしまうくらいの力を持つ存在を一般人の視点から見ることで、より強く、脅威的なものとして見られるんじゃないか、と。

企画当初、非対称型アクションゲームというジャンルが浸透しはじめていた時期でもあったので、それらを上手く掛け合わせたらおもしろい『ドラゴンボール』のゲームが作れるんじゃないか、と思ったのが始まりですね。

――非対称型アクションゲームの作品のなかで、本作では1対7となっています。こちらはどのように決めていったのでしょうか。

原:“圧倒的戦力差”を表現するうえで、単純に一般人側を100人、1000人と増やせば力の差もわかりやすくなりますよね。ただ、それをやってしまうと一般人側一人ひとりの貢献度が下がってしまって、ゲームとしておもしろくならないんです。

その後、ほかのタイトルをベンチマークとしつつですが、“圧倒的戦力差”を表現できてゲームとしてもバランスを保てるラインということである程度人数を絞りつつ、最終的には決めの問題ということで、ドラゴンボールの数である7人とさせていただきました。

作品のコンセプトは守りつつ、遊び心も忘れない

――正式リリース前にはクローズドベータテスト(※2)なども開催されましたが、テストではどんな発見が得られましたか?

廣森:まずは、本作が8人同時対戦のオンラインゲームということもあり、サーバーの負荷チェックやマッチングロジックの改善点などの技術的な部分については、計3回のテストで毎回さまざまな調整すべき点が見えたのは大きかったです。

また、実際にプレイしていただいたファンの皆さまから、アンケートなどを通じて直接ご意見をいただけたのも、大変貴重な機会でした。本作はリリース後も調整とアップデートを重ねていきたいと開発時から考えていましたので、テストを経てリリースまでに何をどのように変えていくか、ある意味でその練習にもなったかなと思っています。複数回にわたり実施したテストの経験とファンの皆さまの率直なご意見があったからこそ、今こうして運営ができている、という感覚はありますね。

※2 クローズドベータテスト:開発中のベータ版製品を調整する目的で実施されるテスト。正式なリリース前に特定ユーザーに限って提供され、試用してもらう。

――テストで想定外だったことなどはありますか?

廣森:熱量高く遊んでくださる方々が本当に多くて、開発陣の予想をはるかに上回る上達ぶりを見せていただいたことですね。サバイバー側が協力することでここまで強さが変わるのか、というのを確認できたので、改めてバランス調整には気をつけないといけないと思いましたし、時には思い切った調整も必要だなと感じています。

原:私もまったく同じ衝撃を受けました。2021年12月に実施したテストは、土日の2日間、それも48時間フルではなくて2日間のうちの特定の時間だけプレイできるようにしたんですけど、その時にもうレイダーが討伐されていたんですよね。嘘だろ、と(笑)

当時はレイダーがすごく強くて、サバイバー側のスキルもかなり制限していたんですよ。なので当然、レイダーが強すぎるという反応になるかと思っていたら、「討伐した!」と盛り上がっていたので、良い意味で予想を裏切られましたね。

田中:本当ですよね。私も実際に動画でレイダーが討伐されているのを見て「討伐されることがあるんだ」とビックリしました(笑)。

レストランのテーブルに座っている男性たち

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――本作では戦闘力5でおなじみの「農家のおじさん」や登場演出に使用できる「桃白白の柱」など、これまでのゲームでは出番の少なかった要素も登場しています。これらを登場させることも早い段階から決まっていたのでしょうか。

原:登場することになった経緯はそれぞれあるのですが、「農家のおじさん」については最初期から出したいと思っていました。知る人ぞ知る有名なキャラクターですし、自分が過去に携わっていた『ドラゴンボール Z KAKAROT』で登場していたこともあって個人的にも思い入れのあるキャラクターなんですよ。

今回は一般人が主人公ということで、『ドラゴンボール』の一般人代表と言えば「農家のおじさん」なんじゃないかと思いまして、プロモーションでも「戦闘力5の君たちへ贈る――究極の脱出劇」というのをキャッチフレーズにしていたんです。ある意味伏線というか(笑)。そういうふうに、ゲームのコンセプトは守りつつ、遊び心を込められるところはとことん遊ぶようにしています。

座る, テーブル, 食品, 皿 が含まれている画像

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農家のおじさん

廣森:ほかにもセルの幼虫形態が出たり、魔人ブウの第1形態がスポポビッチだったりして、けっこう自由ですよね。そういった部分はファンの皆さまからも期待どおりの反応をいただいていて、手応えを感じられました。ファンの皆さまからの声はこれからも参考にしていきたいですね。

――リクエストの多いキャラクターなどはいますか?

廣森:やはり、アンケートで一般人枠として人気が高かったのは「ミスター・サタン」ですね。もちろん、運営側でも今後さまざまなキャラクターの登場を仕込んでいるんですが、なかには「さすがにこれは予想できないだろう」と思っていたものをピンポイントに的中させるコメントを見かけたこともあります。

ファン同士がお互いに予想を話し合って盛り上がっていただけるのは大変うれしいですし、実際に新たなキャラクターが出たときの皆さまの反応もより楽しみになりますね。今後のアップデートもぜひ楽しみにしていただければと思います。

ファンと運営でより良いゲーム体験を作り上げていく

――ワールドワイドで展開している本作ですが、国内外で注目されるポイントの違いなどはありますか?

田中:『ドラゴンボール』の魅力として、強い者同士のバトル、そのインフレといった部分があると思うんですけど、やはり国ごとに傾向の違いみたいなものはありますね。国内であればギャグ的な一面や細かい要素を好きな方が多いのに対し、海外はとにかく強いキャラが好き、といった傾向があるかなと思います。

原:海外ではバトルシーンで特に盛り上がる方が多くて、国内だと世界観やストーリー部分を好きな方が多いですよね。今回は『ドラゴンボール』のコアなファンの方はもちろん、いままでゲームまではあまり触れていなかったカジュアルなファンの方にも遊んでいただける作品となっているので、そういった方々にも気軽に楽しんでほしいです。

レストランのテーブルで食事をしている人達

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――2022年12月に行われた「ジャンプフェスタ2023」では『ドラゴンボール ザ ブレイカーズ』も出展されましたが、イベントを終えての感想はいかがでしょうか。

田中:当日は試遊台のスペースでお手伝いをさせていただいたのですが、親子連れの方がたくさんいらっしゃるなかで、4回くらいくり返し遊んでくださった親子の方がいたんです。お話を伺ったところ、イベント会場で子どもと一緒に試遊したらおもしろくて何度も遊んでしまった、とおっしゃっていたのが印象的でしたね。長年愛されている『ドラゴンボール』だからこそ、親子2世代で楽しめるのも魅力だと感じました。

廣森:試遊台ではesportsの大会で実況をされているような実況者の方をお呼びして、皆さまが試遊されている様子を実況してもらいました。横から見ていても盛り上がっていて、初心者の方もいれば慣れている方もいる状態で、すごくわちゃわちゃしていておもしろくなったなと思います。こういった機会は今後も設けられたら、と感じましたね。

原:今回、イベントのスペシャルステージでは「ゲーム実況者わくわくバンド」さんをゲストにお迎えして、生で一般ユーザーの方と遊んでいただいたんですよ。ゲームの特性上何が起こるか本当にわからなくて、当日はすごく緊張しました(笑)。でも結果として見どころがあって、笑いが起きるような展開になっていたので、開発当初から思い描いていたとおりのことが実現できて良かったなと思っています。

――今後の予定などについて、お話しできる範囲でお伺いできればと思います。

廣森:2023年2月16日からシーズン2が開幕し、新しい4人目のレイダー「ベジータ」やサバイバーのスキンが追加されましたが、今後も1シーズンを3〜4ヵ月くらいの期間で開催しつつ、いろいろなキャラクターを追加して、新しい遊び方を作っていきたいと思っています。

また、アップデート以外の面でいえば、「ジャンプフェスタ2023」のステージイベントのように、ファンの皆さまとコミュニケーションできるようなイベントもやっていきたいです。

田中:ファン投票もやっていきたいですね。DLC(ダウンロードコンテンツ)にどのキャラクターが追加されてほしいかという投票企画など、ファンの皆さまの声を大切にしていきたいですね。

――最後に、このインタビューを読まれている方へのメッセージをお願いします。

田中:本作は、『ドラゴンボール』を好きな方はもちろん、幅広い世代の方々にお楽しみいただけるゲームだと思っています。私も友達と通話しながら遊んだりして、仕事と関係なく楽しんでいるので、まだプレイしていない方にもぜひ遊んでほしいと思います。

廣森:ファンの皆さまの声を参考にさせていただきつつ、データ面からも状況を分析していって、初心者の方も熟練者の方も楽しめるようなかたちを目指していきたいと考えています。アンケートなどで皆さまのご意見を募る機会は今後も設けてまいりますので、ぜひお力添えをいただければと思います。

原:発表当時から、このゲームはファンの皆さまと一緒に作っていく、と言い続けてきました。SNSの投稿や公式アカウントへのリプライ、動画でのコメントなど、さまざまなところで声を上げてくださり、ありがとうございます。

今後も引き続き、良いものは良い、直してほしいところはこうしてほしいと、声を上げていただきたいなと思っています。改めて、我々も皆さまのご意見に目を通していますので、これからも一緒に本作を盛り上げていければと思います。ぜひともよろしくお願いします!

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ファンファーレでは皆さまのご意見、ご感想を募集しております! 編集部にて拝見させていただきました上で、今後の改善のための参考にさせていただきます。記事に寄せられた声を「Fan’s Voice」として紹介させていただく場合もございます!

【編集後記】
『ドラゴンボール』初の非対称型アクションゲーム『ドラゴンボール ザ ブレイカーズ』。強いキャラクター同士が戦う1対1の対戦格闘ゲームとは違って、一般人の目線から戦いを描くことでレイダーとなるキャラクターをより脅威的に描きつつ、圧倒的戦力差からの逆転も味わえるとあり、非常に『ドラゴンボール』と相性の良いジャンルに思えます。今後どのようなレイダーやサバイバーが登場するのか、アップデート展開にもDAN DAN 心魅かれていくというものです!

村田征二朗
1989年生まれのライター。しゃれこうべ村田、垂直落下式しゃれこうべライターMなどの名でも活動し、コンシューマータイトルやスマートフォンアプリのインタビューや攻略記事を執筆。原稿料の8割はプロレス観戦のチケット代に消える。

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