2018年4月にバンダイナムコエンターテインメントに入社した平野さん。e-Sports課に在籍して日々eスポーツの普及に努めています。まだまだ初めての経験ばかりだという平野さんに、eスポーツイベントの魅力や、自身の抱負について聞きました!
eスポーツはあらゆる世代が楽しめる!日々の仕事で実感したeスポーツイベントならではの幅広い魅力とは?
――平野さんは今年4月に入社したばかりだそうですね。e-Sports課のお仕事にはどんな魅力を感じていますか?
平野:もともとゲームは好きでしたが、「eスポーツ」という言葉自体が最近になって注目を集めはじめたばかりですし、私自身もeスポーツについてはあまり詳しくない状態から仕事をはじめました。なので、ちょうど今、日々の仕事の中でその魅力を実際に感じているところです。
e-Sports課ではイベントの立ち上げと運営を中心に「どういうイベントを立ち上げて、何をするか」を考えていくので、会議室で企画を詰めるだけではなくて、実際にイベントが形になって、そこでタイトルの人気を肌で実感できるのが魅力のひとつです。
――eスポーツといっても様々なタイトル/イベントがありますが、e-Sports課ではプロ選手たちが参加する本格的な大会だけではなく、お子さんたちにeスポーツの魅力を知ってもらうためのイベントも企画しているそうですね。
平野:2018年8月10日~12日の3日間、パナソニックセンター東京にて開催された「『スポーツ×ゲーム』体験フェスティバル」がまさにそのひとつです。eスポーツのイベントというと、普段はコアなユーザーに向けた大会などが多いイメージがあるかもしれませんが、eスポーツには他にも色々な楽しみ方があると思うんです。「『スポーツ×ゲーム』体験フェスティバル」は、お子さんや親御さんに向けに「eスポーツってこういうものだよ」と体験してもらえるようなイベントになりました。
――当日はどんなことが行なわれたんですか?
平野:『太鼓の達人 Nintendo Switchば~じょん!』『ドラゴンボール ファイターズ』『プロ野球 ファミスタ エボリューション』の3つのNintendo Switchタイトルが楽しめる、良い意味でeスポーツ色が強くない、「ゲームが集まる遊び場」のような雰囲気のイベントとなりました。参加していただいたお子さんにeスポーツを感じてもらおう!」ということで、各タイトルそれぞれ時間内に好成績を収めたお子さんに最後にステージに上がってもらい、ステージ上で対戦してもらうという企画を考えていたんです。
ですが、e-Sports課としても、子ども向けのイベント運営は初の試みでもあり、私たちが想定していた通りにイベントが進行できないという事態が起きたため、途中からは予定を変更し、ゲストとして出演いただいていた『ドラゴンボール ファイターズ』のプロゲーマーの方との「対戦会」という交流型のイベントに切り替えていきました。
――なるほど、現場の様子をみてよりいい形に変えていくこともあるんですね!
平野:そうですね。当日は小学校の低学年~高学年ぐらいのお子さんが大半でしたが、子ども達の上達スピードはとても速く、最後には『太鼓の達人』や『ファミスタ』であれば、プロゲーマーの方を倒すお子さんもいて、色んな方が盛り上がってくれたのがすごく嬉しかったです。お父さんの中には普段から『ドラゴンボール ファイターズ』をプレイしているユーザーの方もいて、その方々との対戦では、プロゲーマーの方も本気を出したりして白熱した試合になりました。
お客様だけではなくて、プロゲーマーの方も普段の試合とはまた違う楽しそうな表情を見せてくれることが多くて、そういう意味でも良い機会になりました。プロゲーマーの方々も「子どもに教える機会ができて楽しかった」とおっしゃってくださいました。
――お子さんにとっては、ゲーム好きの友達ができる場所にもなりそうです。
平野:そうですよね。公民館でみんなで遊ぶような感覚で「eスポーツ」を体験してもらえるような、気軽に参加できるイベントもすごく大切だと思うんです。プロ選手の試合の面白さを伝えるのはもちろんですが、こういう面からもeスポーツを盛り上げていけたらと考えています。
弊社のタイトルには『鉄拳7』のような格闘ゲームから、『太鼓の達人』のようにお子さんも気軽に楽しめるものまで色々な種類のものがあるので、その魅力をできるだけ色々な方に体験してもらえる機会を作っていけたら嬉しいです。
強豪選手の技術と『鉄拳』を愛するコミュニティならでの熱気が充満! 「Tekken World Tour TOKYO TEKKEN MASTERS」
――一方で、平野さんはe-Sports課の一員として、2018年8月18日~19日に開催された「Tekken World Tour TOKYO TEKKEN MASTERS」(以下TWT)もサポートしたそうですね!
平野:「Tekken World Tour」は、バンダイナムコエンターテインメントアメリカがTwitch社の協力のもと世界各地で開催している「鉄拳7」のツアー大会であり、今年で2回目となります。各地で開かれる予選大会は、各地のコミュニティリーダーが運営をしており、日本ラウンドとなる「TOKYO TEKKEN MASTERS」も日本で一番大きなコミュニティ「MASTER CUP」が主催しました。私たちe-Sports課は、協力といった形で大会に関わり、その一つとして今回はバンダイナムコ未来研究所の13階で大会を開催しました。
このイベントは「『スポーツ×ゲーム』体験フェスティバル」とは真逆で、『鉄拳7』を愛するコアなユーザーの熱気が感じられて、まさに「スポーツだ!」と感じる体験でした。大会の様子は配信もされていましたが、観ている方のコメントがずっと止まることがなかったですし、いい試合では自然と拍手が沸き起こったりして、かなり盛り上がっていましたね。
私はこの大会には会場づくりから関わらせていただき、当日は受付も担当しました。試合が進む中で、待っている方たちもみなさん交流したり応援したりしていて、コミュニティが盛り上がっていくことで、eスポーツ自体が盛り上がっていくような雰囲気を改めて感じました。
やっぱり、ゲームがあるだけではeスポーツは成立しないですし、一方でゲームがなければそもそもeスポーツにはならないですよね。「ゲーム」と「人/コミュニティ」の両方が揃って初めて成立すると思うので、「みんなでゲームを楽しむ」ことがeスポーツの魅力なんだな、と改めて感じました。
「ゲームはゲーム画面の中だけで成立することだけが魅力じゃない」色々な人と繋がれる楽しさ
――平野さんがゲームを好きになったきっかけはどんなものだったんですか?
平野:家族がもともとゲーム好きで、小学生ぐらいから自然に触れていました。最初は攻略法も調べることなく、「ゲームってキャラが動いて楽しいな」という感覚だったと思います(笑)。でも、だんだんハマって攻略本や攻略サイトを見ていく中で、ゲームが好きな人たちのコミュニティやイベントがあることも知ったんです。そういうものに参加することで、「ゲームと私」という関係だけではなくて、ゲームを通じて色んな人たちと繋がれる楽しさを知りました。
それに、私はこの会社に入る前にアニメ関係のお仕事をさせていただく経験があって、「作品が好きな気持ち」を共有する楽しさを、そこでも感じていたんです。それもあって「エンターテインメントを後押しする仕事に就きたい!」という気持ちが強くなって、バンダイナムコエンターテインメントに就職しました。
――これからe-Sports課でどんな風にお仕事していきたいですか?
平野:まずは「eスポーツ」そのものを、もっと定着させていきたいです。まだまだ「ゲームはスポーツではない」という認識の方も多いと思うので、まずは色々なイベントなどを通して、「eスポーツ」という言葉自体を知ってもらって、理解してもらって、定着させたい! と思っています。
そのうえで、弊社のタイトルももっと多くの方に広めていきたいです(笑)。バンダイナムコには本当に色々なタイトルがあって、それが私が「この会社に入りたい!」と思った理由でもあるので、その魅力をたくさんの方に知ってもらえたら嬉しいです。
さっきもお話したように、「ゲームはゲーム画面の中だけで成立することだけが魅力じゃない」と思うんです。「他の人と一緒にやっても楽しいよ」と伝えることで、色んな方にゲームとの思い出の数や種類をたくさん作っていただけたら嬉しいです。私自身ゲームが大好きで、ゲームについて考えたり、話したり、イベントに参加したり――。そのどれもが楽しいことだと思っているので。 「私にできることであれば、どんどん後押ししていきたい!」と思っています。
【取材後記】
もともとアニメ関係のお仕事をしていたことも手伝って、「キャラクターや世界観からゲームにハマることも多い」という平野さん。特に「ゴッドイーター」シリーズが好きで、PSPの『GOD EATER BURST:ゴッドイーターバースト』は、スティックを触りすぎて指紋が薄くなるくらいやりこんだとか。
持ち前のゲーム愛と、「ゲームを通じて色んな人と繋がる」という実体験を活かして、eスポーツの普及、頑張ってください!
取材・文/杉山 仁
フリーのライター/編集者。おとめ座B型。三度の飯よりエンターテインメントが好き。